薬局経営における物販強化戦略|OTC医薬品と健康食品の販売で収益向上

薬局経営における物販強化戦略 OTC医薬品と健康食品の販売で収益強化 薬剤師キャリア




なぜ薬局に物販強化が必要なのか

なぜ今、物販強化が必要か
薬価改定⇒利益縮小
処方箋依存⇒経営リスク
OTC・健康食品⇒薬価改定の影響なし
専門知識⇒差別化の武器に

薬局の収益は従来、処方箋調剤報酬と薬価差益に依存していました。しかし、薬価改定やジェネリック普及により利益は年々縮小。処方箋依存のままでは安定した経営は難しくなっています。
そこで注目されるのが OTC医薬品や健康食品の販売強化 です。これらは薬価改定の影響を受けず、薬剤師の専門性を活かして信頼性ある提案販売ができるため、薬局にとって大きな収益改善手段となります。

逆に言えば、これまでは処方箋だけで経営が成立していたということ。特定のセグメントの顧客が定期的に来局するのであれば、アップセルを目指すのは経営の定石です。
薬剤師さんの一部には、極端に「金儲け」を嫌うフシがありますが、世の役に立っていれば結果として利益が生まれるのは当然です。患者さんの役に立って、薬局の利益にもなる物販に、是非積極的に取り組んでください。


OTC医薬品販売の強化ポイント

OTC医薬品販売の強化ポイント
セルフメディケーション税制
税制メリットの説明で販売機会拡大
カウンセリング販売
薬剤師の説明力でドラッグストアと差別化
季節需要対応
花粉症、インフルエンザ、熱中症対策を重点展開

1. セルフメディケーション需要の拡大

セルフメディケーション税制の導入により、OTC医薬品の利用が促進されています。患者に税制メリットを説明できる薬局は、選ばれやすく販売機会も拡大します。ただ、患者に税制メリットを説明するタイミングってあまり思いつかない方もいると思います。その場合には、ポスターを利用した告知が便利です。掲示物であれば、勝手に見てくれて、興味のある患者さんだけ問いかけてくるので、それに答える形で税制メリットを説明できます。

2. 薬剤師によるカウンセリング販売

ドラッグストアとの差別化は「薬剤師の説明力」にあります。副作用リスクや併用注意を含めた提案は、安心感を提供し、購買率を高めます。ただし、そうは言っても一品目を販売する手間が多くかかるので、全ての品目に対して説明力を発揮することは難しいでしょう。ピンポイントに説明を重点的に行う品目を絞ると良いです。

3. 季節需要に合わせた販売戦略

花粉症、インフルエンザ、夏の熱中症対策など、季節ごとに需要が高まるOTCを重点的に展開することで、販売機会を最大化できます。これはコンビニやスーパー、ドラッグストア等の小売店では常識です。


健康食品販売の強化ポイント

薬局収益改善のための健康食品販売の強化ポイント
生活習慣病予防ニーズ
高齢化社会⇒予防意識の高まり
信頼性ある商品選定
エビデンスのある高品質商品で差別化
継続購入の仕組み
定期購入制度・ポイントカードの活用

1. 生活習慣病予防へのニーズ

高齢化に伴い、糖尿病・高血圧・脂質異常など生活習慣病対策への関心が高まっています。サプリメントや機能性表示食品の提案は需要が大きい分野です。

お医者さんにかかる程でもないけど、気になっている健康状態(高血圧や肥満など)はある中高年の方は多いです。ニーズに応えることで患者満足度は向上します。「今度、先生に相談してみてください」では解決になっていません。

2. 信頼性のある商品ラインナップ

医療機関に近い薬局だからこそ、根拠のある商品を揃えることが重要です。安価な大量販売ではなく、薬剤師が推薦できる品質の高い健康食品を取り扱うことで差別化できます。もし、とっつきにくい方がいらっしゃったら、まずは一類医薬品の拡充です。薬剤師が常駐している強みが発揮されるポイントになります。

3. 継続購入を促す仕組み

定期購入制度やポイントカードを導入すれば、安定したリピート収益が見込めます。薬剤師のフォローアップも加えれば、患者は「ここで買い続けたい」と感じやすくなります。

なんだかドラッグストアみたいだな。そう感じた方も多いと思います。
ただ、最近、ドラッグストアに処方箋が流れているのも事実。
患者さんはシンプルにドラッグストア調剤の便利さに気づいただけです。
薬局もドラッグストアから学べることもあると思います。


物販強化による収益改善の効果

物販強化による薬局収益改善効果
薬価改定の影響軽減
顧客単価の向上
患者との関係強化

1. 薬価改定の影響を受けない収益源

OTCや健康食品の販売は、調剤報酬や薬価に依存しないため、薬価改定による収益減少を補う役割を果たします。とは言え、急に売り上げが拡大するわけもないので、薬価改定に関わらず、すぐにでも取り組みましょう。

2. 顧客単価の向上

処方箋対応だけでなく、物販を提案することで患者一人あたりの売上(客単価)が上昇します。例えば、メイバランスなどの栄養補助食品を定期的に購入されてる方や、症状に応じてロキソニンやガスターを購入される方などがいます。

3. 患者との接点拡大

薬剤師が薬以外の商品提案をすることで、患者の健康サポート全般に関わることができ、関係性が強化されます。例えば、食生活について相談された場合に、薬歴に「野菜不足で栄養が偏っている」とかといった記述を残しておくと、次回の服薬指導に活きてくることもあります。


成功する物販強化の実践法

成功する物販強化の実践法
カウンセリング販売の仕組みづくり
薬歴、顧客データを活用した個別提案
店舗レイアウトの工夫
入口、待合スペースに商品を効果的に配置
デジタルツールの活用
LINE、アプリで健康情報と商品案内を発信

1. カウンセリング販売の仕組みづくり

薬歴や顧客データを活用し、患者の疾患背景やライフスタイルに合わせた商品提案を行うことが重要です。これは、実はドラッグストアにはない機能。そもそも顧客データを薬歴という形で保持している薬局の強みです。過去にヒアリングした患者情報は薬歴をみれば書いてあります。逆にOTC販売時に聴取した情報も薬歴に残せば服薬指導に活用できます。

2. 店舗レイアウトの工夫

入口や待合スペースにOTC・健康食品の売り場を設置し、患者が自然に商品に触れられる環境をつくります。特に待合スペースは、患者さんが手持ち無沙汰になるので、発信したい情報を閲覧できるようにしましょう。ここに季節性商品のPRを入れると、患者さんのニーズにマッチすることが多くなります。または、疾患が偏りやすい薬局では特定の栄養補助食品の広告や、宅配食の代理店としてアピールすることもできます。

3. デジタルツールの活用

LINE公式アカウントやアプリを通じて商品情報や健康アドバイスを発信し、購買につなげる施策も有効です。ただし、公式LINEを処方箋送信に利用している場合には、ユーザーのブロックリスクを考慮する必要があります。処方箋送信の患者単価は高額なので、ユーザーを失うリスクはかなり恐れるべきです。逆に言えば、公式LINEを処方箋送信に利用していない場合、多少、ゴリ押し広告でブロックされようとも、世間的にはよくあることですみます。(他の小売業種の方がよっぽどゴリ押しです。)

4. キャンペーンとイベント

季節商品キャンペーンや健康測定イベントを行うことで、物販と健康支援を組み合わせた販売促進が可能になります。これはお医者さんの開業時に行う内覧会と同じような効果があります。つまり、一度でも中に入ったことのある場所には、そうでない場所に比べて、入りやすさが格段に向上する、といった効果があります。


成功事例に学ぶ物販強化

物販による薬局収益改善効果
「薬剤師おすすめサプリ」コーナー
⇒健康食品売上前年比150%
花粉症シーズン併用OTC提案
⇒顧客単価平均500円増加
⇒年間数百万円の収益改善

ある薬局では「薬剤師おすすめサプリ」コーナーを設置し、処方待ちの患者に説明したところ、健康食品の売上が前年比150%に伸びました。

別の薬局では花粉症シーズンに合わせ、処方薬と併用できるOTCを提案した結果、顧客単価が平均500円増加しました。これが年間を通じて数百万円の収益改善につながったのです。


まとめ|物販強化で薬局経営を安定化

物販強化で薬局経営を安定化
調剤依存からの脱却が収益改善のカギ

薬局が収益改善を実現するためには、調剤依存からの脱却が欠かせません。その解決策の一つが OTC医薬品と健康食品の物販強化 です。

  • セルフメディケーション需要への対応
  • 薬剤師による信頼性あるカウンセリング販売
  • 季節・生活習慣に応じた商品提案
  • 継続購入を促す仕組みづくり

これらを組み合わせることで、薬局は患者に選ばれる存在となり、薬価改定に左右されない強固な収益基盤を築けます。