「最近、生え際が後退してきた」「頭頂部の地肌が見えるようになった」
――それはもしかすると AGA(男性型脱毛症) の初期症状かもしれません。
AGAは自然に治ることがなく、進行を放置すると広範囲の薄毛へと進みます。
しかし、早い段階で症状を理解すれば、進行を抑えることが可能です。
この記事では、AGAの症状と進行パターン(M字・O字・U字型) をわかりやすく解説します。
薬剤師の鈴木です。西洋人にはM字型が多く、我々東洋人にはO字型が多いと言われます。
Contents
AGAとは?まず基本をおさらい

AGAとは「Androgenetic Alopecia(男性型脱毛症)」の略で、
成人男性に多くみられる進行性の脱毛症です。
特徴的なのは、髪全体ではなく特定の部分から徐々に薄くなること。
特に「生え際」と「頭頂部(つむじ)」の2か所が代表的な発症部位です。
発症のメカニズムは、男性ホルモン(DHT)と遺伝が大きく関係しています。
DHTが毛根に作用すると、髪の成長期が短縮され、
太く育つ前に抜けてしまう――これがAGAの根本的な症状です。
AGAの初期症状とは?

AGAの初期には、次のような変化が見られます。
- 髪が細く、柔らかくなる
- 抜け毛が増える(1日100本以上)
- 生え際のラインが後退して見える
- 頭頂部が透けるように見える
- 髪のボリュームが減り、セットが決まらない
これらの症状は急激に進むのではなく、少しずつ進行するのが特徴です。
気づかないうちに進行してしまうため、「なんとなく薄いかも」と感じた時点で対策を始めるのが理想です。
AGAの代表的な進行パターン3タイプ
AGAには主に以下の3つの進行タイプがあります。
「M字型」「O字型」「U字型」のいずれか、または複合型として現れます。
① M字型(生え際後退タイプ)

額の両端が後退し、アルファベットの「M」の形に見えるタイプです。
最も多いパターンで、20代後半から始まるケースもあります。
特徴
- 額の角から後退し、こめかみ部分が薄くなる
- 前髪のボリュームが減り、形が変わる
- セットしても額が透ける
原因
生え際部分は「DHT」の影響を最も受けやすい箇所のひとつ。
毛根が敏感であるため、他の部位より早く脱毛が進行します。
対策
- 早期の内服治療(フィナステリド・デュタステリド)
- ミノキシジル外用薬での発毛促進
- 前頭部への血流改善(頭皮マッサージ・運動)
② O字型(頭頂部薄毛タイプ)

つむじ付近から薄くなり、地肌が目立つようになるタイプです。
後頭部から見たときに「O」の形に見えることからO字型と呼ばれます。
特徴
- 頭頂部の中心が円形に薄くなる
- 上から光が当たると地肌が透けて見える
- 髪を乾かすとボリュームがなくなる
原因
頭頂部は血流が滞りやすく、DHTの影響を受けやすい部位です。
長時間のデスクワークやストレスも悪化要因になります。
対策
- ミノキシジル(外用薬・内服薬)の併用
- 頭皮マッサージによる血行促進
- 生活習慣の改善(睡眠・食事・運動)
原因がDHTにあるのはM字型と同じなので、フィナステリドやデュタステリドといった5αリダクターゼ阻害薬も用いられます。
③ U字型(複合型・全体進行タイプ)

M字型とO字型の両方が進行し、額から頭頂部までがU字型に薄くなるタイプです。
特徴
- 額から頭頂部にかけて一体的に薄くなる
- 全体的なボリュームがなくなる
- 後頭部や側頭部のみ髪が残る
原因
M型・O型の複合的進行によるもので、進行が最も早いタイプ。
放置すると治療効果が出にくくなるケースもあります。
対策
- 早期の医療介入が必須
- 内服薬+外用薬+再生医療などの併用治療
- 自毛植毛を検討するケースもあり
AGAの進行度を評価する「ハミルトン・ノーウッド分類」

AGAの進行は「ハミルトン・ノーウッド分類(Hamilton-Norwood scale)」で7段階に分けられます。
段階 | 特徴 |
---|---|
Ⅰ型 | まだ明確な薄毛は見られない |
Ⅱ型 | 生え際がやや後退(M字の始まり) |
Ⅲ型 | 額の後退が明確に確認できる |
Ⅳ型 | 生え際と頭頂部の薄毛が進行 |
Ⅴ型 | 前頭部と頭頂部の薄毛がつながり始める |
Ⅵ型 | 頭頂部から前頭部全体が薄くなる |
Ⅶ型 | 頭頂部・前頭部がほぼ脱毛し側頭部のみ残る |
進行度が上がるほど治療の難易度が上がるため、Ⅱ〜Ⅲ型の初期段階で治療を始めることが理想です。
ハミルトンノーウッド分類ではAGAの進行の典型として、M字型が先行し徐々に頭頂部が薄くなっていくモデル(西洋人モデル)です。ところが、我々東洋人のAGAの場合には頭頂部の脱毛の進行が早い傾向があるため、上図Ⅱ型、Ⅲ型のところに頭頂部脱毛のパターンⅡ型Vertex、Ⅲ型Vertexを加えてより日本人のAGAを捉えやすくした高島分類があります。
AGAの進行を放置するとどうなるか?

AGAは進行性の脱毛症であり、自然に止まることはありません。
放置すればするほど毛根が弱り、治療効果も出にくくなります。
さらに、心理的な影響(自信低下・対人不安)を感じる方も少なくありません。
早期に医師へ相談し、科学的に根拠のある治療を始めることが重要です。
AGAの進行を抑える方法

- DHT生成を抑える薬(フィナステリド・デュタステリド)
- 発毛を促す薬(ミノキシジル)
- 生活習慣改善(睡眠・栄養・ストレス管理)
- 定期的な頭皮ケア(マッサージ・シャンプー選び)
これらを組み合わせることで、AGAの進行を止めたり、発毛を促す効果が期待できます。
まとめ|AGAの進行を「知る」ことが最大の予防

- AGAは「M字・O字・U字」の3タイプに分類される
- 生え際や頭頂部から進行し、放置すると全体に広がる
- ハミルトン・ノーウッド分類で段階的に進行
- 初期段階で治療を始めるほど改善効果が高い
AGAは気づいたときが「治療の始めどき」です。
鏡を見て違和感を覚えたら、早めに専門クリニックで診断を受けましょう。
進行を理解し、適切な治療を行うことで、薄毛の未来は大きく変えられます。

次の記事では「AGA予防法まとめ|食事・生活習慣・シャンプー・サプリ」についてご紹介します。