
「コーヒーを飲みすぎるとハゲるって本当?」
「朝の一杯のカフェインは髪に悪いのでは?」
仕事や勉強の合間にコーヒーを飲む人は多いですが、
その一方で「カフェインが薄毛に悪影響を与えるのでは」と心配する声も少なくありません。
実際、カフェインは摂取量やタイミングによって髪に良い面と悪い面の両方を持っています。
この記事では、カフェインがAGA(男性型脱毛症)に与える影響を科学的に解説し、
髪を守るための正しいコーヒーの摂り方を紹介します。
こんにちは。現役薬剤師の鈴木重正です。
コーヒーの様々な作用は、以前より多くの迷信??が語られてきました。
健康に良いと言われたり、健康に悪いと言われたり・・・
少なくとも一般的な飲食物と違い、人体に一定以上の作用を及ぼすことは間違いありません。
人生に、ほんのちょっぴりの楽しみを足す、スパイス的な立ち位置。コーヒーはそんな理解でよいと思います。
過剰に摂取しないように、適度にコーヒーのある生活を楽しみましょう。
Contents
1. AGAとは?カフェインとの関係を知る前に

AGA(Androgenetic Alopecia)は「男性型脱毛症」と呼ばれ、
男性ホルモンの一種「DHT(ジヒドロテストステロン)」が毛根に作用して、
髪の成長期を短縮させることで起こります。
主な原因は:
- DHTの過剰分泌
- 遺伝的体質
- 生活習慣(睡眠・食事・ストレス・嗜好品など)
この「嗜好品」の中に含まれるカフェインが、
実はAGAと深く関係しているのです。
2. カフェインの働き ― 髪に良い3つの効果

カフェインと聞くと「眠気覚まし」「刺激物」といったイメージがありますが、
適量であれば発毛を助ける研究結果もあります。
① 血流促進作用
カフェインには末梢血管を拡張させる作用があり、
血流を改善して頭皮や毛根に酸素と栄養を届けやすくします。
→ 特に朝の1杯は、血流を活性化させて代謝を上げる効果があります。
② 抗酸化作用
カフェインやコーヒーポリフェノールには抗酸化作用があり、
細胞の老化を防ぎ、毛母細胞の働きを守ります。
→ ストレスや紫外線による「酸化ダメージ」を抑え、髪の健康を維持。
③ DHTの抑制作用(ドイツの研究)
ドイツ・ヤーゲル大学の研究によると、
カフェインを毛根に直接作用させるとDHTの影響を抑える効果があることが確認されています。
実験では、カフェインを含む培養液に毛包を浸すと、
通常よりも長く成長期を維持したという結果が報告されています。
👉 このため、最近では「カフェイン入り育毛トニック」も販売されています。
3. カフェインの悪影響 ― 摂りすぎると逆効果

良い効果がある一方で、過剰なカフェイン摂取は逆に薄毛を悪化させるリスクがあります。
① 睡眠の質を下げる
カフェインには覚醒作用があるため、
夕方以降に摂取すると睡眠の質を下げ、成長ホルモンの分泌を妨げます。
成長ホルモンは髪の修復と再生に関わるため、
寝不足は発毛の大敵です。
② ストレスホルモン(コルチゾール)を増やす
カフェインは一時的に集中力を高めますが、
摂りすぎると副腎を刺激して「コルチゾール(ストレスホルモン)」を増やします。
コルチゾールが増えると、
- 血流が悪化
- 皮脂が過剰分泌
- DHTが活性化
といった悪循環に陥り、AGAが進行しやすくなります。
③ ミネラルの吸収を妨げる
コーヒーに含まれるタンニンやカフェインは、
亜鉛・鉄分など発毛に必要なミネラルの吸収を阻害します。
特に食後すぐにコーヒーを飲むと、栄養吸収率が下がるため、
食後30分〜1時間は間を空けるのが理想です。
4. コーヒーを飲むなら「タイミング」と「量」に注意
カフェインを完全に避ける必要はありません。
大切なのは “摂取の仕方” です。
✅ 理想的なコーヒー習慣

| タイミング | 内容 | 髪への影響 |
|---|---|---|
| 朝食後 | 1杯 | 血流・代謝アップ |
| 午後(14時まで) | 1杯まで | 集中力維持・ストレス軽減 |
| 夜(18時以降) | 控える | 睡眠の質を守るためNG |
👉 1日の目安:コーヒー2〜3杯(カフェイン200〜300mg)程度が上限。
5. AGA治療中の人が注意すべきポイント

① 薬の吸収を妨げるタイミングを避ける
AGA治療薬(フィナステリド・デュタステリド)は食後服用が基本。
同時にコーヒーを飲むと、薬の代謝が変化する場合があります。
→ 服用から30分程度はコーヒーを控えるのが安心。
② ミノキシジル外用薬との併用はOK
むしろ、血流を促すカフェインの軽度な摂取は発毛を助ける可能性もあります。
ただし、過剰摂取は逆効果なので「適量」を守ることが大切です。
6. コーヒー以外のカフェイン飲料の注意点

| 飲み物 | カフェイン量(100mlあたり) | 注意点 |
|---|---|---|
| コーヒー | 約60mg | 摂りすぎ注意(1日3杯まで) |
| 紅茶 | 約30mg | 比較的マイルドだが寝る前はNG |
| 緑茶 | 約20mg | 抗酸化効果が高くおすすめ |
| エナジードリンク | 約80〜120mg | 最も危険。高濃度で過剰摂取になりやすい |
エナジードリンクや眠気覚まし系飲料は、
カフェイン量が多く、心拍数上昇・血管収縮などの副作用が出やすいので要注意です。
余談ですが、体に吸収されたカフェインの代謝酵素は、喫煙によって強化されます。
言い換えると、タバコを吸うとカフェインが効きにくくなる、ということです。
喫煙によって、血中のカフェイン濃度が下がると、コーヒーが飲みたくなる。
タバコとコーヒーが相性の良い嗜好品である所以ですね。
逆に、禁煙するとカフェイン代謝が落ちるので、喫煙していた時と同じペースでコーヒーを飲むと、胃が荒れたり、眠れなくなるなど副作用?が起きやすくなります。
7. カフェインレス・デカフェコーヒーも選択肢

「どうしても夜にコーヒーを飲みたい」
そんな方には カフェインレス(デカフェ) がおすすめです。
デカフェでもポリフェノールや抗酸化成分は含まれるため、
髪と体に優しいリラックス効果を得られます。
8. コーヒーと発毛を両立させるポイントまとめ

- コーヒーは適量なら発毛をサポート
- 飲みすぎ・夜の摂取は逆効果
- 食後や薬の服用直後は避ける
- 緑茶やデカフェを上手に活用する
- エナジードリンクは避ける
「カフェイン=悪」ではなく、量とタイミング次第で“育毛ドリンク”にもなるのです。
9. まとめ|コーヒーを賢く飲めば髪の味方になる

- 適量のカフェインは血流促進・抗酸化作用で髪に良い
- 過剰摂取は睡眠・ホルモン・栄養吸収を妨げて逆効果
- AGA治療中は服用タイミングと分量に注意
- コーヒーを楽しみながら、健康な髪を育てる生活習慣を意識する
コーヒーは“嗜好品”でありながら、“習慣の質”を変える力も持っています。
適切に付き合えば、あなたの毎朝の一杯が髪の健康を支える味方になるでしょう。
最後に著者鈴木が信頼するAGA治療に積極的な医院をご紹介します。
福島 久津医院
とても気さくで話しやすい女医先生です。
次回は「AGAとストレスホルモンの関係|コルチゾールが薄毛を進行させる?」をご紹介します。