薬局売却の相場と価格算定方法|高値で売却するための実務ポイント

薬局売却の相場と価格算定 薬剤師独立

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はじめに

薬局を売却しようと考える経営者にとって「自分の薬局はいくらで売れるのか?」は最大の関心事です。
薬局の売却価格は単なる売上規模だけでなく、立地条件・処方箋枚数・医師との関係・薬剤師の確保状況など、多くの要因で決まります。

本記事では、薬局売却の相場感と算定方法を解説し、さらに高値で売却するための実務ポイントを紹介します。


薬局売却の一般的な相場感

薬局売却の相場観

薬局M&A市場では、売却価格の目安として「年間利益の〇倍」という倍率方式がよく使われます。

  • 中小規模薬局(年商5,000万円〜2億円):利益の3〜5倍程度
  • 地域密着型で安定収益のある薬局(集中率低い):利益の5〜7倍程度
  • 大手チェーンや投資家が関心を持つ薬局:利益の8倍以上になる場合もある

👉 単なる年商ではなく、「利益をどれだけ安定して生み出せるか」が評価の基準になります。

私は大手薬局チェーンで実際に価値算定をしていました。
一番、評価が高くなるのは「自慢したくなる薬局」です。
例えば、東京駅の中にあるとか、東大病院門前とか、日本一の処方箋数とかですかね。
そういった特別な薬局は、収益性を度外視した株価がつきます。
有名なのは東大病院門前で、世界5薬局にも数えられた水野薬局さんを日本調剤社が買収した事例ですね。
IR資料や採用パンフなど、東大門前の響きはとても魅力的だと思いますし、既存の従業員の方の満足度にも貢献すると思います。


薬局売却価格を左右する主要因

薬局売却価格を左右する要因

1. 収益性

  • 処方箋枚数の安定度
  • 調剤報酬点数の傾向
  • 在宅医療や地域包括ケアへの対応状況

2. 立地条件

  • 医療モール内、病院門前の薬局は高評価
  • 競合が多い地域や人口減少地域はマイナス要因

3. 人材の確保

  • 管理薬剤師・常勤薬剤師が安定している薬局は高評価
  • 薬剤師不足が深刻な場合は価格が下がる

薬局M&Aにおいて薬剤師確保や買収後の運営難易度は価格にダイレクト効いてきます。
離島などの運営困難地域は、そもそも買収対象から外れることもあります。
小規模であれば、運営困難地域の薬局さんは、個人の買い手の独立案件とした方が売りやすいと言えるでしょう。

4. 医師との関係性

  • 処方元医師との関係が強固な薬局は安定性が高い
  • 特定医師依存度が高すぎる場合はリスク要因

個人経営のクリニックで門前Drが高齢な場合には、継続性が問題視されます。

5. 財務内容

  • 債務超過がないか
  • 借入過多でないか
  • キャッシュフローが安定しているか

財務内容は極論すれば株式譲渡でしか見られません。
事業譲渡を選択すれば、財務問題の多くはクリアできます。
詳しくはお問い合わせください。


薬局売却価格の代表的な算定方法

薬局売却価格の算定方法

1. マルチプル法(倍率法)

薬局のEBITDA(営業利益+減価償却費)に倍率をかけて算定する方法。
例:EBITDAが2,000万円、倍率が5倍の場合 → 評価額は1億円。

中小企業の場合、決算書上の営業利益を修正して、正常収益力を算出する必要があります。代表的な修正項目は、オーナーの報酬、社用車関連費用、経営者保険関連、接待交際費です。
株式譲渡の場合には、マルチプルで算出した評価に、会社保有財産や負債の評価を足し引きします。詳しくはお問い合わせください。

2. DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)

将来のキャッシュフローを予測し、現在価値に割り引いて算定。
👉 将来の成長性を加味できるが、中小薬局ではあまり使われない。

DCFはM&AやMBAの教科書ではよく取り上げられますが、実務的には交渉材料にしか使われないです。最近こそ、金利上昇がみられますが永らく本邦はゼロ金利でしたので、ディスカウント率も非常に低く、前提条件によっては非常に高額な譲渡対価が算定されます。
売り手オーナーのために、高額な譲渡対価を正当化する方便として使われてきたという印象です。

3. 純資産法

資産から負債を差し引いた「純資産額」を基準に算定。
👉 赤字薬局や清算価値重視のケースで用いられる。

意外と純資産価値は、よく使われます。
主に独立案件などの小規模な薬局の売買ではむしろ主流と言えるでしょう。
具体的には、譲渡対価=在庫+調剤機器のみとするパターンです。
ここで仲介手数料が高額だと、売買が成立しなくなるので困りものです。

弊社YAKUDACHIでは売り手手数料無料、買い手業界最低レベルの手数料で、小規模案件も売買成立可能です。是非お問い合わせください。


薬局を高値で売却するための実務ポイント

薬局を高値で売却するための実務ポイント
  1. 在宅医療対応を強化する
    → 高齢化社会で評価が高まる分野。
  2. 薬剤師の定着率を上げる
    → 人材安定は買い手が最も重視する要素の一つ。
  3. 財務資料を整備する
    → 決算書・資金繰り表をきちんと用意し、透明性を高める。
  4. 買い手候補を広く募る
    → 仲介会社を活用し、複数の買い手と競争させることで価格を引き上げられる。
  5. タイミングを逃さない
    → 処方箋枚数が安定している時期、経営者がまだ元気なうちに売却を検討するのがベスト。

成功事例と失敗事例

成功事例

関東のA薬局は、在宅医療を積極的に展開し、薬剤師定着率も高かった。
複数の買い手が競合し、当初想定より2割高い価格で売却に成功。

失敗事例

関西のB薬局は、経営者が高齢になってから売却を検討。
処方箋枚数が減少し、財務内容も悪化。結果的に希望価格の半分以下での売却となった。


まとめ

薬局売却の価格は「収益性」「安定性」「人材確保」「医師との関係性」で大きく左右されます。

  • 一般的な相場は利益の3〜5倍だが、条件次第で7倍以上も可能
  • 価格算定にはマルチプル法・DCF法・純資産法がある
  • 高値売却のためには、在宅医療対応・人材安定・財務透明性が不可欠

いかがでしたでしょうか。
今回は薬局売却時の価格算定法につき解説しました。
多くの薬局オーナーは人生に一度きりの売却かと思います。
後悔しないようにしっかり対策してM&Aに臨んでください。