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はじめに
日本の医療制度は超高齢社会を背景に、「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。
薬局はその中核的存在として、在宅医療や服薬指導、地域連携を担っており、売却や事業承継においても「地域包括ケアへの関与度合い」が重要視されます。
薬局売却を検討する経営者にとって、承継後も地域包括ケアに積極的に関わる体制を引き継げるかどうかは、買い手企業からの評価や地域住民の信頼維持に直結します。
本記事では、薬局売却と地域包括ケアシステムの関わりについて整理し、承継成功のための実務ポイントを解説します。
皆さん、こんにちは。YAKUDACHI鈴木です。
今回は薬局M&Aにおける地域包括ケアシステムとの関りについてお届けします。
現代経営において薬局とは、特定の医療機関に依存せず、地域の医療、在宅のハブとしての機能が求められます。
M&Aの実務上は、診療報酬各項目での評価及び今後の加算取得の確実性として、地域における連携機能は売却価格に影響します。現段階では地域支援加算の算定項目にある各指標に対してどの程度積極的に取り組んでいるかで、例えば5年10年と収支の将来予測を立てる際には参照される情報になります。
地域包括ケアシステムとは

- 高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に提供する仕組み
- 薬局は「服薬管理」や「在宅医療支援」の面で重要な役割を担う
- 医師会、訪問看護、介護施設、自治体との連携が不可欠
薬局売却と地域包括ケアの関わり

- 在宅医療への対応力
- 在宅訪問や多職種連携を行っている薬局は評価が高い
- 買い手企業にとっても地域戦略の強みとなる
- 多職種連携の実績
- 医師・看護師・ケアマネジャーとの連携実績は、承継後の信頼維持に不可欠
- 地域活動への参加度合い
- 地域ケア会議や研修への参加実績があると、地域からの評価が高い
買い手企業が重視する視点

- 在宅患者数や訪問件数
- ケアマネジャーや訪問看護との連携度合い
- 地域医師会や介護事業者との関係性
- 承継後も地域包括ケアに取り組む意思の有無
👉 「地域包括ケアに積極的な薬局」は、売却価格でも優遇されやすい傾向があります。
薬局M&Aの買い手からみた場合、地域の各種医療、介護リソースとの連携は関心の高い分野です。技術料の将来見込みにおいても+ですし、在宅処方箋の拡大を考えたときにも増収を期待しやすいです。
成功事例と失敗事例

成功事例
関西のA薬局は、地域包括ケア会議に継続参加し、在宅訪問実績も豊富。
売却交渉では「地域での信頼」を強調し、買い手企業もそのネットワークを高く評価。
結果的に相場以上の価格で売却が成立。
失敗事例
東北のB薬局は、地域包括ケアへの関与がほとんどなく、売却後に地域の医師や介護事業者との連携が途絶。
結果として患者が流出し、買い手企業の経営に悪影響を及ぼした。
実務での対応ポイント

- 在宅医療体制の整理
- 在宅患者数、訪問実績をデータ化
- 医師や訪問看護との連携記録を残す
- 地域連携の可視化
- ケア会議参加状況や地域活動実績をまとめる
- 承継資料として買い手に提示
- 従業員教育
- 承継後も地域包括ケアに対応できるよう、従業員に教育を行う
- 買い手企業との方針共有
- 「地域包括ケアへの取り組みを継続する」ことを売却契約に盛り込むと安心
チェックリスト

- 在宅患者数・訪問件数を把握しているか
- 多職種連携の実績を整理しているか
- 地域ケア会議への参加実績を証明できるか
- 承継後の地域包括ケア方針を買い手と共有しているか
まとめ
薬局売却において、地域包括ケアシステムへの関与度は買い手の評価に直結します。
- 在宅医療・多職種連携・地域活動の実績を整理
- 承継資料として提示し、地域医療への貢献姿勢を明確化
- 買い手企業にも「地域包括ケアを重視する」姿勢を共有する
いかがでしたでしょうか。
地域における医療、介護の情報ハブとして機能している薬局は、将来にわたって必要とされ、当然に収益も高いものになると予測されます。買い手からの評価も自ずと高くなります。
ビジネスの基本は人の役に立つことですね。
次回は「薬局売却と金融機関対応|融資・保証・債務整理を円滑に進める方法」をお届けします。経営と金融は切っても切れない関係ですが、一部の薬局経営者の方は少し疎い分野ではないでしょうか。薬局を売却する以上、金融機関にとっては一大事ともなりますので、しっかりとした対応が求められます。是非ご参照ください。