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はじめに
薬局を売却する際、財務諸表に現れる「資産」や「利益」だけでなく、無形の価値である「のれん代(Goodwill)」が重要な評価ポイントとなります。
のれん代とは、薬局のブランド力、地域での信頼、患者基盤、従業員の経験やスキルなど、数値化しにくい価値を表したものです。
「同じ規模の薬局でも、売却価格に大きな差が出る」
その理由の一つが、この「のれん代評価」にあります。
本記事では、薬局売却におけるのれん代の考え方、評価方法、実務上の交渉ポイントを解説します。
皆さん、こんにちは。YAKUDACHI鈴木です。
今回は薬局の売却価格に大きな影響を与える「のれん代」についてです。
誰しも、高く売りたいですよね。当たり前だと思います
高く売れる薬局はいずれも高額なのれん代がついています。
しっかり対策して、正当な評価を獲得しましょう。
のれん代とは何か

- 会計上の定義
企業価値(買収価格)から純資産を差し引いた残額が「のれん」として計上される。 - 薬局における特徴
- 患者基盤(処方箋枚数・リピーター率)
- 地域住民からの信頼関係
- 医師や介護事業者との連携関係
- 経験豊富な従業員の存在
👉 これらは財務諸表には直接反映されないが、買い手にとっては「将来の収益を支える価値」として高く評価される。
薬局におけるのれん代とは、ほぼ全て立地です。
医院の隣にあること。
買いやすさという意味では、買い手の店舗網と親和性が高いかも重要です。
のれん代が薬局売却価格に与える影響

- 処方箋枚数の安定性
- 月間処方箋枚数が安定している薬局は、将来の収益予測が立てやすく、のれん代評価が高い
- 地域でのブランド力
- 長年の経営による地域住民からの信頼
- 口コミや紹介による新規患者獲得力
- 従業員の定着率
- ベテラン薬剤師や安定したスタッフが継続勤務する薬局は、買い手から高評価
- 医療機関との関係性
- 特定の病院やクリニックからの安定的な処方箋供給ルート
- 医師との信頼関係
のれん代評価の実務的な算定方法

- 超過収益力法
- 将来の予測収益から、通常の利回りを超える部分を「のれん」として算定
- 市場比較法
- 類似規模・地域の薬局M&A事例を参考に「相場」を反映
- DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)
- 将来のキャッシュフローを割引計算して価値を算出
専門的になっちゃいますが、実務ではのれん代は、マルチプルで計算した株価から逆算される形で算出されます。
つまり、直接、のれん代を求めることはしません。
交渉での活用ポイント

- 強みを数値化して提示
- 「処方箋枚数〇枚」「リピーター率〇%」など、客観的数値で示す
- 従業員の安定性をアピール
- 離職率の低さ、平均勤続年数を提示
- 地域での活動実績を示す
- 健康相談会、在宅訪問実績など
👉 買い手にとって「安心して投資できる薬局」と思わせることが、のれん代評価を高める近道です。
成功事例と失敗事例
成功事例
関東のA薬局は、長年の地域活動や患者アンケートの結果を整理し、ブランド力をデータ化。
結果として、同規模の薬局より2割高い売却価格を実現した。
失敗事例
関西のB薬局は、従業員が複数退職しており、承継後の運営リスクが懸念された。
結果として、帳簿上の利益は良好でも、のれん代評価が低く抑えられた。
実務チェックリスト

- 患者基盤や処方箋枚数を整理しているか
- 従業員の勤務状況・離職率を数値化しているか
- 地域活動や信頼関係を資料化しているか
- 他薬局M&A事例を調べて相場を把握しているか
- 将来の収益シミュレーションを準備しているか
まとめ

薬局売却における「のれん代」は、数値化が難しいものの、実際の売却価格を大きく左右する要素です。
- 患者基盤・従業員・地域信頼など、数値化しにくい資産を整理する
- 将来収益の裏付けを示すことで、のれん代を高く評価してもらえる
- 交渉では「安心して承継できる薬局」であることを強調する
いかがでしたでしょうか。
のれん代について解説しました。
薬局M&Aとのれんは切っても切れない関係。しっかり対策しましょう。
次回は「薬局売却と承継後の統合作業|PMI(Post Merger Integration)の成功ポイント」をお届けします。
金融取引であるM&Aが事業として走り出すのに、必須の作業、PMIについて解説します。
ぜひご参照ください。