薬局売却と行政対応|承継時の許認可・届け出・監査リスクを徹底解説

薬局売却と行政対応 許認可、届出 薬局 M&A

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はじめに

薬局を売却する際、避けて通れないのが「行政対応」です。
薬局は医療機関と同様に、厚生労働省や都道府県の厳格な許認可制度の下で運営されているため、売却・承継にあたって行政への適切な対応を怠ると、営業停止や許可取り消しなどの重大リスクを抱えることになります。

本記事では、薬局売却時に必要となる行政手続きや注意点、成功と失敗の事例を交えて解説します。

皆さん、こんにちは。YAKUDACHI鈴木です。
私は、行政対応が大嫌いです。
ハッキリ言って「くそだりぃ」です。
行政のWebサイトはそもそもUI/UXがゴミみたいですし、窓口の担当者の方も残念な人が多いです。一般的なビジネス相手であれば、シンプルに切り捨てればよいだけですが、監督官庁であれば関わらざるを得ません。
そんな大嫌いな仕事なので、私の場合は完全にシステマティックに運営しています。
必要な許認可手続きを全て洗い出してリスト化します。期限や提出先、フォーマット、必要添付書類のデータなどなど。先方が全く効率化しないので、全てこちらで効率化します。
ちなみに、窓口に直接持参すると、一定の確率で不愉快な思いをするので、あらゆる提出書類は郵送です。


薬局売却における行政対応の重要性

  1. 薬局開設許可の承継
    • 薬局の運営には都道府県知事による開設許可が必須
    • 株式譲渡の場合は許可の名義変更不要だが、事業譲渡の場合は新規許可申請が必要
  2. 保険薬局指定の承継
    • 保険調剤を行うためには地方厚生局の指定を受ける必要がある
    • 株式譲渡では指定の有効性が維持されるが、事業譲渡では新規指定申請が必要
  3. 行政監査リスク
    • 売却を契機に監査対象となるケースあり
    • レセプト請求や薬歴管理の不備があればペナルティにつながる

誤解を招かないように、注釈ですが・・・
事業譲渡=廃止新規。これは間違いないです。既存の許認可の廃止と新たな許認可の取得。そして遡及。
ただし、株式譲渡=既存の許認可そのままでOK。だと少々問題あります。
法人の許認可はもちろん、そのまま引き継ぎで間違いないのですが、通常のM&Aでは代表者(つまり社長)が交代になります。
多くの許認可は法人代表者の変更を届出事項としているので、株式譲渡であっても代表者変更の手続きは必要になります。
まぁ、それでも手続きが事業譲渡に比べて少ないのは事実ですね。


行政対応の流れ

  1. 売却スキームの選択
    • 株式譲渡 → 開設許可・保険指定はそのまま承継
    • 事業譲渡 → 新規許可・新規指定の取得が必須
  2. 行政への事前相談
    • 都道府県薬務課、地方厚生局に売却の意向を事前説明
    • 必要な書類や審査期間を確認
  3. 必要書類の準備
    • 薬局平面図、構造設備概要書
    • 管理薬剤師の資格証・勤務体制表
    • 売買契約書・譲渡証明書
  4. 許可・指定申請の実施
    • 事業譲渡の場合、営業開始日の1か月以上前に提出が望ましい
    • 不備があれば審査が遅れ、開業日がずれるリスクあり

事業譲渡はスケジュールがタイトになりがちなので、行政への事前相談は必須です。
保健所、厚生局、各種公費窓口すべてに電話で確認しましょう。
恐らく、その時点では売買当事者同士のNDAでM&Aの事実が公表できないので、匿名で相談することになります。(行政が信用できない美しい国ニッポン)
一部のアポ担当者を除き、きっと親切に教えてくれます。
たまに、田舎の公費窓口担当者などM&Aに不慣れな人の場合、アポみたいな事を言い出しますので注意が必要です。あなたが初めて行政対応する場合、アポ担当者のいうことが全てのような気がして「無理じゃんこれ」となってしまいますが大丈夫。「この手続きには、スケジュール上、この方法しか間に合いません。そうでないと該当患者が公費支給をうけられなくなります」とか言ってお願いすると、意外とあっさり受け入れてくれます。


実務で注意すべきポイント

  1. タイムライン管理
    • 行政手続きには時間がかかるため、売却スケジュールに組み込むことが必須
  2. 管理薬剤師の確保
    • 新規許可申請では管理薬剤師の配置が要件となる
    • 承継後も継続勤務できるかを事前確認
  3. 監査への備え
    • 売却前に薬歴・レセプトのチェックを実施
    • 不備があれば売却前に是正しておくことが望ましい

慣れてない方が行政対応する場合(多くの独立薬剤師があてはまりますね)、行政対応はガントチャートでも作って、システマティックに実行しましょう。
丁寧すぎるくらいがちょうどよいです。いつまでに事前相談して、どの許認可をいつまでにどこに提出するのか。フォーマットは事前にダウンロードしておきましょう。
しっかり事前準備しておくと、その段階で実は足りない情報がみつかったりします。
例えば、従業員の方の経歴書が必要だったり、自分の職歴があいまいだったり、印鑑証明や謄本など取得に手間や時間のかかる書類が求められることもあります。


成功事例と失敗事例

成功事例

関東のA薬局は、事業譲渡による売却を検討。
早期に薬務課へ相談し、必要書類を整備した結果、スムーズに新規許可・新規指定を取得でき、承継後の営業を途切れさせずに済んだ。

失敗事例

関西のB薬局は、行政対応を軽視し、申請手続きが遅延。
結果として一部公費の請求が遅れた


実務チェックリスト

  • 株式譲渡か事業譲渡かで必要な行政手続きを整理したか
  • 都道府県薬務課・地方厚生局に事前相談を行ったか
  • 管理薬剤師の確保を確認したか(資格関係、経歴書)
  • 薬歴・レセプトの不備を売却前に是正したか
  • 行政手続きのタイムラインを売却スケジュールに反映したか

まとめ

薬局売却と行政対応は切り離せない課題であり、適切に準備を進めることで承継後のトラブルを回避できます。

  • 株式譲渡なら許可・指定は維持、事業譲渡なら新規取得が必要
  • 行政への事前相談と必要書類の準備を徹底する
  • 管理薬剤師の確保や監査対応を怠らないことが成功の鍵

いかがでしたでしょうか。
今回は薬局M&Aにおける行政対応、許認可届出についてお届けしました。
メンドクサイですが、必要なことなので割り切って対応してください。

次回は「薬局売却と薬剤師確保|承継後の経営安定を左右する人材戦略」についてお届けします。薬局経営する上で、薬剤師確保は永遠のテーマですね。
私が学生の頃(はるか昔)から、薬剤師が余る時代がくると言われてましたし、最近ではAIで薬剤師がいらなくなるとか言われてますが、相も変わらず薬剤師不足です。
採用したくても出来ない状態が永遠に続いてますね。