AGAの原因を現役薬剤師が徹底解説|男性ホルモンと遺伝の仕組みを理解して抜け毛予防

AGAの原因を徹底解説 男性ホルモンと遺伝の仕組み AGA概要

「最近抜け毛が増えてきた」「生え際が気になる」――その症状の裏側にある代表的な薄毛の病気が AGA(男性型脱毛症) です。
日本人男性の3人に1人が発症するとされるAGAは、進行性で自然に治ることはありません。

では、なぜAGAは起こるのでしょうか?
本記事では、AGAの原因を「男性ホルモン」「遺伝」「生活習慣」の3つの視点から現役薬剤師が徹底解説します。

AGA(Androgenetic Alopecia(アンドロジェネティック・アロペシア)の略)とは男性型脱毛症のことです。壮年期の男性ホルモンDHTによって引き起こされる脱毛症のことです。現役薬剤師である鈴木がAGAと男性ホルモン、遺伝の関係について解説します。皆さんも正しいAGAの知識を身につけ、抜け毛予防に役立ててください。


AGAとは?まず原因を理解する前に

AGAとは Androgenetic Alopecia(男性型脱毛症) の略称です。思春期以降の男性に発症しやすく、前頭部や頭頂部を中心に薄毛が進行するのが特徴です。

症状は「M字型(生え際後退)」「O字型(頭頂部薄毛)」「U字型(複合型)」に分類され、放置すると徐々に広がっていきます。

このAGAの進行を引き起こす中心的な要因が 男性ホルモン(DHT)と遺伝的要素です。


最大の原因:男性ホルモンDHT
テストステロン
正常な男性ホルモン
筋肉、骨格形成に必要
5αリダクターゼ
頭皮に存在する酵素変換作用をもつ
DHT
ジヒドロテストステロン
脱毛を引き起こす
DHTは毛乳頭細胞に作用し、髪の成長サイクルを短縮させる

AGAの最大の原因:男性ホルモン「DHT」

テストステロンと5αリダクターゼ

男性の体内には「テストステロン」という男性ホルモンが分泌されています。これ自体は筋肉や骨格の形成に役立つ大切なホルモンです。

しかし、このテストステロンが頭皮に存在する酵素「5αリダクターゼ」によって変換されると、より強力な男性ホルモンである ジヒドロテストステロン(DHT) に変わります。

DHTは男性の壮年期ホルモンとして働くだけでなく、実は少年期の第2次性徴(陰茎伸長や体毛増加)にも深く関与しています。よって「5αリダクターゼ阻害薬」つまりフィナステリドやデュタステリドは少年には絶対に服用させてはなりません。(一部皮膚吸収も認められるので、触るのもダメです)

AGAのメカニズム:DHTの毛根への悪影響
正常な成長期
2~6年
健康な髪が育つ
DHT影響下
数か月~1年
成長期が短縮
結果
産毛状態で脱毛
ボリューム減少
成長期短縮
髪が十分に成長する前に抜け落ちる
毛髪の細化
産毛のように細く弱い髪になる

DHTが毛根に与える悪影響

DHTは毛根の毛乳頭細胞に働きかけ、髪の成長サイクルを短縮させます。

  • 本来2〜6年ある成長期が数か月〜1年程度に短縮
  • 髪が十分に成長する前に抜け落ちる
  • 産毛のように細く弱い髪ばかりになる

結果として、抜け毛が増え、髪のボリュームが減少していきます。


AGAのメカニズム
もう一つの原因:遺伝
5αリダクターゼの活性度
酵素の働きの強さ
DHT生成量に影響
毛乳頭細胞の感受性
DHTに対する反応度
脱毛の起こりやすさ
隔世遺伝の特徴
父親だけでなく母方の影響
母方の祖父が薄毛の場合も要注意
父親がふさふさでも安心できない

AGAのもうひとつの原因:遺伝

遺伝で決まる「酵素の活性度」と「感受性」

AGAの発症には遺伝が大きく関与しています。具体的には以下の2つが遺伝的に影響します。

  1. 5αリダクターゼの活性度
     酵素の働きが強い人ほどDHTが多く作られる。
  2. 毛乳頭細胞のDHTに対する感受性
     DHTに敏感な毛根を持つ人は脱毛が進みやすい。

父系だけでなく母系の影響も

AGAは「隔世遺伝」することも多く、父親だけでなく母方の祖父が薄毛だった場合にもリスクが高いといわれています。

「父親がフサフサだから安心」と思っていても、母方の遺伝要因を受け継いでAGAを発症するケースも珍しくありません。


AGA原因を悪化させる生活習慣
睡眠不足
成長ホルモン分泌阻害
毛髪修復機能低下
ストレスとAGA
自律神経の乱れ
血流悪化を引き起こす
偏った食生活
タンパク質、亜鉛不足
髪の栄養不足
喫煙、過度な飲酒がAGAに悪影響
血流阻害により頭皮に栄養が届かない
頭皮環境悪化
皮脂、フケで毛穴つまり
これらは直接原因ではないが、症状悪化のリスクファクターである

AGAの原因を悪化させる生活習慣

男性ホルモンや遺伝が主因であることは確かですが、生活習慣も進行スピードに影響します。

  • 睡眠不足:成長ホルモンが分泌されず、毛髪の修復が妨げられる
  • ストレス:自律神経やホルモンバランスが乱れ、血流が悪化
  • 偏った食生活:タンパク質や亜鉛不足で髪が育ちにくくなる
  • 喫煙・過度な飲酒:血流を阻害し、頭皮に栄養が届きにくくなる
  • 頭皮環境の悪化:皮脂やフケが毛穴を詰まらせ、発毛を妨げる

これらの要因はAGAの直接原因ではありませんが、症状を悪化させるリスクファクターです。


女性にも関係するAGAの原因
FAGA(女性型脱毛症)
男性ホルモンの影響は少ない
ホルモンバランスの崩れ
加齢、ストレスが原因
重要なポイント
ホルモンと遺伝は男女を問わず薄毛の主要因

AGAの原因は女性にも関係する?

AGAは男性型脱毛症ですが、女性にも「FAGA(女性型脱毛症)」という類似の症状が存在します。女性の場合は男性ホルモンの影響は少ないものの、ホルモンバランスの乱れや加齢、ストレスなどが原因で薄毛が進行します。

つまり、ホルモンと遺伝は男女を問わず薄毛の主要因と言えるのです。

フィナステリドやデュタステリドは女性型脱毛症に効果がないばかりか、女性には副作用が大きいため、絶対に女性の抜け毛に服用を勧めてはいけません。


AGAの原因を理解した上での対策

AGAの原因を正しく理解すると、効果的な対策の方向性が見えてきます。

  • DHT生成を抑える薬の使用
     → フィナステリド、デュタステリド
  • 発毛を促す薬の使用
     → ミノキシジル
  • 生活習慣の改善
     → 栄養・睡眠・ストレス管理・禁煙
  • 頭皮ケア
     → 正しいシャンプー(スカルプDやケフトルなど)、紫外線対策

根本的な解決には「薬によるDHT抑制」が必要ですが、生活習慣を整えることでAGA進行を緩やかにすることが可能です。


まとめ
AGAの原因は男性ホルモンと遺伝、生活習慣
DHTの作用
成長期短縮
抜け毛増加
遺伝的要因
酵素の強さ
感受性決定
生活習慣
悪化要因
改善可能
AGAは進行性だが原因を理解し早期対策で改善の可能性がある
薄毛は遺伝だから仕方ないとあきらめず、原因にアプローチできる治療法を検討することが大切である

まとめ|AGAの原因は「男性ホルモン+遺伝+生活習慣」

  • AGAの原因は 男性ホルモンDHTの作用遺伝的要因
  • DHTは毛髪の成長期を短縮し、抜け毛を増加させる
  • 遺伝によって「酵素の強さ」や「DHTへの感受性」が決まる
  • 睡眠不足やストレス、喫煙など生活習慣も悪化要因になる
  • 原因を理解すれば「薬+生活改善」で効果的に対策できる

AGAは進行性の病気ですが、原因を正しく理解し、早期に適切な対策を行えば改善の可能性があります。

「薄毛は遺伝だから仕方ない」と諦めず、まずは原因にアプローチできる治療法を検討することが大切です。

次の記事では「AGAの症状と進行パターン【M字・O字・U字を図解】」につきご紹介します。

最後に著者鈴木が信頼するAGA治療に実績のあるクリニックを紹介します。
福島市にある久津医院さん。とても相談しやすい女医先生です。近隣にお住いの方は是非一度ご相談ください。