
「運動すると髪が生えるって本当?」
「筋トレをすると薄毛が進むと聞いたけど…?」
AGA(男性型脱毛症)に悩む人の中には、運動と薄毛の関係を気にする方も多いでしょう。
実は、運動はAGA予防にも改善にも大きな影響を与える重要な要素です。
本記事では、運動が髪に与えるプラス効果・マイナス効果の両面を科学的に解説し、
髪の健康を守るための理想的な運動習慣を紹介します。
薬剤師の鈴木重正です。
運動は健康的な生活に必須の項目です。
ただし、AGAに限っては良い面だけでなく、悪い面もあるのでしっかり理解しましょう。
運動のAGAに対する悪影響を防ぐには5αリダクターゼ阻害薬の内服が効果的です。
本編で詳しく解説します。
Contents
1. AGAとは?運動との関係を考える前に

AGA(Androgenetic Alopecia)は「男性型脱毛症」と呼ばれる進行性の脱毛症です。
主な原因は以下の3つ:
- 男性ホルモン(DHT)の過剰生成
- 遺伝的な体質
- 血流不足や生活習慣の乱れ
このうち「血流不足」「ホルモンバランスの乱れ」は、
運動によって大きく改善できる要素です。
2. 運動が髪に良い理由 ― AGA改善の3大メカニズム

適度な運動を行うと、次の3つの仕組みでAGAの改善・予防につながります。
① 血流改善で毛根に栄養を届ける

髪の成長には、毛母細胞への栄養供給が欠かせません。
しかし、運動不足やストレスによって血流が悪化すると、
毛根まで十分な酸素と栄養が届かなくなります。
有酸素運動を取り入れることで、
頭皮の毛細血管の血流量が増加し、発毛環境が整います。
👉 特に効果的なのは:
- ウォーキング(1日30分)
- ジョギング(週3回)
- スイミング・サイクリング
② 自律神経の安定でホルモンバランスを整える

強いストレスや不規則な生活は、自律神経を乱し、
DHT(ジヒドロテストステロン)生成を促す原因になります。
運動を継続すると、副交感神経が優位になり、
ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を抑制します。
結果として、
- 男性ホルモンバランスが安定
- DHT過剰分泌が抑えられる
- 抜け毛が減少
という好循環が生まれます。
③ 成長ホルモンの分泌促進

運動によって「成長ホルモン」の分泌が活発になります。
このホルモンは筋肉や皮膚だけでなく、毛母細胞の再生にも関与しています。
成長ホルモンが十分に分泌されると、
- 髪の成長期が延びる
- 太く強い毛が生えやすくなる
- 抜け毛サイクルが正常化
といった発毛効果が期待できます。
3. 逆効果に注意!間違った運動がAGAを悪化させることも

「運動すればするほど良い」というわけではありません。
過度なトレーニングや極端な筋トレは、
逆にAGAを悪化させる可能性があります。
① 過剰な筋トレによるDHT上昇

筋トレをハードに行うと、
男性ホルモン「テストステロン」の分泌が一時的に増加します。
テストステロン自体は悪いものではありませんが、
一部が「5αリダクターゼ」によってDHTに変換されるため、
過剰な筋トレはDHTの増加=AGA悪化のリスクを高めます。
👉 特に注意すべきは:
- 週6回以上の筋トレ
- 無理な高重量トレーニング
- ステロイド系サプリの使用
② 栄養不足・ダイエットとの併発

筋トレ後の栄養補給を怠ると、
筋肉だけでなく髪のタンパク質合成にも悪影響を及ぼします。
特に、糖質を極端に制限するダイエットは
ケラチン生成(髪の主成分)を阻害し、抜け毛の原因に。
③ 睡眠不足・過労によるホルモン乱れ

過度な運動で疲労がたまると、睡眠の質が低下し、
ストレスホルモン「コルチゾール」が増加します。
これもDHTの活性化につながるため注意が必要です。
4. 髪に良い理想の運動習慣【1週間モデル】
曜日 | 運動内容 | 効果 |
---|---|---|
月・木 | ウォーキング30分 | 血流促進・リフレッシュ |
火 | 休息 or 軽いストレッチ | 自律神経調整 |
水・土 | 筋トレ(自重+軽負荷)20分 | 成長ホルモン分泌促進 |
日 | 有酸素運動+リラクゼーション | ストレス解消・体内リセット |
👉 ポイント:
- 「継続」>「強度」
- 汗をかく程度の運動を長く続ける方が効果的
5. AGA治療中におすすめの運動タイプ

✅ 有酸素運動(最も効果的)
ウォーキング・サイクリング・ヨガなど。
血流改善・自律神経の安定・ストレス軽減に最適。
✅ 軽めの筋トレ
スクワット・プランク・腕立てなど、週2〜3回で十分。
強すぎる負荷は避け、フォームを重視。
✅ ストレッチ・ヨガ
筋肉をほぐし、肩こりや頭皮の血行不良を改善。
睡眠の質を上げる効果も。
6. AGA改善をサポートする運動+食事の組み合わせ
目的 | 運動 | 食事のポイント |
---|---|---|
抜け毛予防 | 有酸素運動 | 亜鉛・鉄・ビタミンB群を意識 |
発毛促進 | 軽い筋トレ | 高タンパク食でケラチン生成 |
ホルモン安定 | ストレッチ・ヨガ | 炭水化物を適度に摂取 |
血流改善 | ウォーキング | 青魚・ナッツ・オメガ3脂肪酸 |
運動と食事は「髪を育てる両輪」です。
どちらか片方だけでは十分な効果は得られません。
7. 運動でAGA治療薬の効果も高まる!

フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬は、
血流を介して毛根に届くことで効果を発揮します。
運動によって血流が良くなると、
薬の有効成分が頭皮に届きやすくなり、効果が高まるのです。
また、ミノキシジル外用薬と運動を併用することで、
毛母細胞の活性化がさらに促進されることも報告されています。
8. まとめ|「動くこと」が髪を育てる第一歩

- 運動はAGA改善の「血流」「ホルモン」「ストレス」すべてに効果あり
- 有酸素運動+軽い筋トレがベストバランス
- 過剰なトレーニングはDHT増加で逆効果
- 食事・睡眠・ストレス管理とセットで取り組む
- 継続することで、薬の効果も高まり発毛力が上がる
髪は頭だけでなく、全身の健康から生まれる。
今日から無理なく続けられる運動を取り入れ、
体の内側から“育毛体質”を作っていきましょう。

次回は「AGAと禁煙の関係|タバコが髪に与える悪影響」をご紹介します。