
「ストレスを感じると抜け毛が増える気がする」
「最近忙しくて寝不足気味…髪に悪いのでは?」
こうした悩みを持つ人は多いでしょう。実際、ストレスは心だけでなく、髪の健康にも深く関係しています。
特に、ストレスを受けたときに分泌される「コルチゾール(ストレスホルモン)」は、AGA(男性型脱毛症)の進行を早める重要な要因と考えられています。
本記事では、コルチゾールが髪に与える影響と、ストレスによるAGA悪化の仕組み、さらに薄毛を防ぐためのストレス対策法を詳しく解説します。
こんにちは。現役薬剤師の鈴木重正です。
今回はストレスとAGAの関係です。
なんとなくストレスが体の健康に悪いのはわかりますが、具体的にどういった影響があるのか理解している方は少ないでしょう。
本記事ではストレスホルモン「コルチゾール」の作用や、AGAへの悪影響について紹介します。
Contents
1. コルチゾールとは?

コルチゾールは、副腎皮質から分泌される「ストレスホルモン」です。
ストレスを受けたとき、体を守るために分泌され、以下のような働きをします。
- 血糖値を上げてエネルギーを供給
- 炎症を抑える
- 免疫バランスを調整
つまり、短期間のストレスには必要なホルモンなのです。
しかし問題は「慢性的にコルチゾールが高い状態が続く」こと。
この状態が続くと、体内のバランスが崩れ、髪にも悪影響を及ぼします。
2. コルチゾールが髪に悪影響を与える3つの理由
① 毛母細胞の活動を抑制する

コルチゾールが過剰に分泌されると、細胞の増殖を抑える働きが強まります。
毛母細胞(髪を作る細胞)は成長が非常に活発なため、ストレスの影響を最も受けやすい部位のひとつ。
結果として、
- 髪の成長期が短くなる
- 細く弱い髪が増える
- 抜け毛が増える
といった変化が起こります。
② 男性ホルモンのバランスを乱す

コルチゾールが高い状態では、ホルモン全体のバランスも崩れます。
その結果、テストステロンの代謝が促進され、DHT(ジヒドロテストステロン)の生成が増加。
→ DHTの増加は、AGAの最大要因です。
つまり、ストレスホルモンが増えることで、間接的にAGAを悪化させるサイクルが生まれます。
③ 血流悪化・栄養不足

ストレスで交感神経が優位になると、血管が収縮して血流が悪化します。
毛根に十分な酸素や栄養が届かず、髪の成長が止まりやすくなります。
さらに、胃腸の働きも低下し、**発毛に必要な栄養素(亜鉛・鉄・ビタミン)**が吸収されにくくなります。
3. 「ストレス性脱毛症」と「AGA」の違い
| 項目 | ストレス性脱毛症 | AGA |
|---|---|---|
| 原因 | ストレス・ホルモンバランス | DHT(男性ホルモン)・遺伝 |
| 脱毛部位 | 全体的・円形など不規則 | 生え際・頭頂部中心 |
| 進行性 | 一時的(回復可能) | 進行性(治療が必要) |
| 対応策 | ストレス軽減・睡眠改善 | 内服薬・外用薬・生活改善 |
両者は似て見えますが、ストレスによるホルモン異常がAGAを加速させるケースが増えています。
4. コルチゾールが高くなる生活習慣

次のような生活をしていると、コルチゾールが常に高い状態になりやすくなります。
- 睡眠不足・夜更かし
- 長時間労働や過度なストレス
- カフェインやアルコールの摂りすぎ
- 運動不足または過剰なトレーニング
- スマホ・PCによる過剰な刺激
これらはすべて、自律神経の乱れ→ストレスホルモン上昇→AGA悪化という流れを作ります。

5. ストレスホルモンを抑えて髪を守る5つの方法
① 良質な睡眠をとる

睡眠中は成長ホルモンが分泌され、髪や細胞が修復されます。
就寝時間はできれば 23時〜0時の間 に設定し、7時間前後の睡眠を確保しましょう。
寝る前のスマホ・カフェインはNGです。
② 有酸素運動で自律神経を整える

ウォーキングやジョギングなど軽い運動は、
コルチゾールを自然に下げる効果があります。
1日30分程度、汗をかく運動を習慣化しましょう。
③ バランスの良い食事

ストレスで消耗する栄養素を意識的に補うことが大切です。
| 栄養素 | 効果 | 食品例 |
|---|---|---|
| ビタミンC | 抗ストレス効果 | ブロッコリー・柑橘類 |
| ビタミンB群 | ホルモン・神経安定 | レバー・卵・納豆 |
| 亜鉛 | 発毛・免疫強化 | 牡蠣・赤身肉・ナッツ |
④ リラックス時間を意識的に作る

副交感神経を優位にする時間を意識的に作ることが重要です。
- 深呼吸・瞑想・ストレッチ
- 音楽・読書・アロマ
- 趣味や自然に触れる時間
日々の「心の余白」が、髪の健康を守ります。
⑤ 人とのつながりを持つ

孤独や不安はストレスを増幅させます。
友人や家族との会話、職場での適度なコミュニケーションが、
心理的ストレスを緩和し、コルチゾールを下げる効果があります。
6. AGA治療とストレスケアはセットで考える

フィナステリドやミノキシジルなどのAGA治療薬は、
DHTの抑制や発毛促進に有効ですが、
ストレスが強い状態では効果が出にくいことが知られています。
ストレスでホルモンや血流が乱れると、
薬が毛根まで届きにくくなるためです。
つまり、
「薬+ストレスケア=発毛効果の最大化」
という考え方が非常に重要です。
7. ストレスホルモンを下げる1日の理想ルーティン
| 時間 | 行動 | 効果 |
|---|---|---|
| 7:00 | 起床・朝日を浴びる | コルチゾールリズムを整える |
| 8:00 | 朝食(タンパク質・ビタミン) | 血糖安定・代謝活性化 |
| 12:30 | 昼食・軽い散歩 | 自律神経リセット |
| 18:00 | 仕事終わりに軽い運動 | ストレス発散 |
| 22:00 | 入浴・ストレッチ | 副交感神経を優位に |
| 23:00 | 就寝 | 成長ホルモン分泌ピーク |
このように「オンとオフの切り替え」を意識することで、
ストレスホルモンを自然に抑えることができます。
8. まとめ|コルチゾールを制す者が発毛を制す

- ストレスが続くとコルチゾールが増え、毛母細胞が萎縮
- 自律神経の乱れは血流・ホルモン・栄養吸収に悪影響
- 睡眠・食事・運動・リラックスでコルチゾールを抑制
- ストレスケアを行うことでAGA治療の効果も高まる

**「心の安定は髪の安定」**です。
薬や育毛剤だけでなく、ストレスと上手に付き合うことが、
薄毛を防ぎ、健康な髪を育てる最も確実な方法です。
次回は「AGAと睡眠ホルモンの関係|メラトニンが発毛をサポートする理由」をご紹介します。