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はじめに
薬局の売却は、経営者にとって一生に一度の大きな決断です。
しかし、十分な準備や正しい知識がないまま進めてしまうと「思ったより安く売却してしまった」「従業員や患者に混乱が生じた」といった後悔につながるケースがあります。
本記事では、薬局売却における典型的な失敗事例と、その回避策を解説します。
皆さん、こんにちは!
YAKUDACHI鈴木です。
今回は薬局売却M&A時の注意事項、失敗事例です。
多くの薬局経営者の方は人生で初めての売却ではないでしょうか。
このブログを読んでくれている方は聞き飽きたかもしれませんが、初心者がカモにされるのはビジネスの常です。
例えば初めてのマイホーム、結婚式などなど。
初めての時には相場や要不要がわからず、業者に言われるがまま、初めはもっと低い予算で検討していたはずなのに、あれよあれよと見積もりがどんどん高くなって・・・
なんて経験、どなたもあるのではないでしょうか。
薬局売却M&Aの場合も同じです。
しっかり理論武装して、たった一度きりの経営者人生のフィナーレ、より良いものとしてください。私で良ければお力添えさせていただきます。お気軽にこちらのお問い合わせフォームよりご連絡ください。
失敗事例① 相場を知らずに安値で薬局を売却

ある薬局オーナーは、仲介会社に言われるままに売却を進め、実際の相場よりも大幅に低い金額で譲渡してしまいました。
「早く現金化したい」という焦りから相見積もりを取らず、結果的に損失につながったのです。
👉 回避策
- 複数の仲介会社に査定を依頼する
- 処方箋枚数・売上高・立地条件を基準に相場を確認
- 医療モール隣接や在宅対応などの強みを正しく評価
皆さんが薬局経営のプロなら、M&A仲介の営業は会社を売らせるプロです。
「大手しか生き残れない」、「今売らないと売れ残ることになる」、「薬価改定で株価が下がるまえに」、「調剤報酬改定をまたぐと株価が下がる」、「御社に強い興味をもっている買い手がいる」、「今なら○○万円で売れる」などなど。セールストークは変幻自在です。
あなたの大切な会社、ちゃんと評価してくれる買い手をさがしましょう。本当に信頼できる仲介会社以外とは専任契約(自社以外の仲介会社の利用を一定期間禁止する契約)は締結しないほうが無難でしょう。
失敗事例② 薬局売却M&A仲介会社選びの失敗

別のケースでは、薬局M&Aに不慣れな仲介会社を選んでしまった結果、買い手候補の提案が少なく、交渉も難航しました。
結局、予定していた時期に売却できず、オーナーの健康悪化によって「廃業」という選択を余儀なくされました。
👉 回避策
- 医療・薬局M&Aの実績がある仲介会社を選ぶ
- 報酬体系(成功報酬型か着手金ありか)を比較
- 成約事例や担当者の専門性を確認
薬局の売却M&Aは医療機関との関係性や、薬剤師の採用など、ある種独特な商習慣への理解が大切です。大手は莫大な広告予算を使って、売り手候補をかき集めます。ただし、その後、実際の薬局売却まで経験豊富なコンサルタントがついてくれるとは限りません。しっかり薬局専業で経験豊富な仲介会社を選びましょう。
失敗事例③ 薬局売却時の従業員への説明不足

売却を従業員に伝えるタイミングを誤り、「直前に突然告知」したことで大量退職が発生。
その結果、薬局の営業が一時的に困難となりました。
👉 回避策
- 管理薬剤師やキーパーソンには早めに情報を共有
- 全体説明会を実施し、売却理由と今後の方針を誠実に伝える
- 雇用条件の維持・改善を事前に調整
特に複数薬局の法人では、情報漏洩リスクから事前告知は難しいです。
どうしても従業員への開示は薬局売却直前になります。
それでも、どう伝えるか、人間同士なので気持ちが大切です。
経営者の方の従業員への気持ちが伝わる瞬間だと思います。
失敗事例④ 薬局売却時の財務・在庫管理の不備

デューデリジェンスで、在庫管理のずさんさや未払い残業代などの労務リスクが発覚。
その結果、買い手が提示した金額から大幅に減額されてしまった事例があります。
👉 回避策
- 最新3期分の決算書を整備する
- 不動在庫を整理し、棚卸資産を適正化する
- 労務・契約書類を事前にチェックしてリスクを解消
在庫管理のずさんさは、在庫金額の修正以上の影響を与えると言えます。
買い手企業から見れば、ちゃんと管理がなされていない会社とみなさざるを得ません。
よって、本来よりも安全マージンが欲しくなる、そんな動機になるかもしれません。
失敗事例⑤ 薬局売却時の税務・相続の見落とし

売却益にかかる税金を考慮しておらず、「手取りが想定よりも数千万円少なかった」という事例もあります。
さらに、オーナーの急逝により売却益がそのまま相続財産となり、遺族に多額の相続税が課されたケースも。
👉 回避策
- 株式譲渡か事業譲渡かで税制が異なることを理解する
- 税理士・会計士に早めに相談して節税スキームを検討
- 相続を見据えて、信託や贈与なども併用する
薬局売却(M&A)時の経営者の方の税金は、譲渡スキームの検討や退職金額の決定など、税務的な論点がいくつもあるので、ご自身で設計するのは現実的ではありません。
信頼できる専門家に依頼しましょう。
失敗事例⑥ 薬局売却タイミングの誤り

薬価改定直後や業績悪化の時期に売却を試み、買い手から低評価を受けたケースもあります。
「もう少し早ければ高値で売れたのに」と後悔する例が少なくありません。
👉 回避策
- 経営が安定している時期に売却を検討
- 薬価改定や地域医療政策の影響を見極める
- 体調や年齢を考慮し、余裕を持って行動する
少なくとも、運営されている薬局が、いわゆる門前薬局モデルであるならば
最も高く売れるタイミングは今です。
つまり、この先、株価が下がることはあれど上がることはまずありません。
ちなみに、著者鈴木の体感では、薬局M&Aにおいて最も高く売れていた時期は
2015年前後です。日本の調剤薬局の代表、世界の5薬局にも数えられた水野薬局が日本調剤に売却、仙台の雄、葵調剤がアインに売却されたのもこの時期ですね。
薬局売却で失敗しないための5つの鉄則

- 相場を理解し、複数査定を取る
- 実績ある仲介会社を選ぶ
- 従業員・患者対応を重視する
- 財務・法務を整備する
- 税務・相続・タイミングを見極める
まとめ

薬局売却の失敗事例を振り返ると、その多くは「情報不足」「準備不足」「相談不足」に起因しています。
- 情報不足 → 相場や税制を知らずに不利な条件で売却
- 準備不足 → 財務や人員整理を怠り、買い手に減額される
- 相談不足 → 専門家を活用せず、孤立して意思決定
薬局売却は、事前準備と専門家の活用次第で大きな差が生まれます。
本記事の失敗事例と回避策を参考に、後悔のない薬局売却を目指しましょう。
薬局M&Aの失敗事例についてご紹介しました。売却をお考えのオーナー様のご参考になれば幸いです。
M&A仲介の能力は、いかに失敗の芽を先回りして潰していけるかだと思います。
実際、失敗が表面化してから対応しても、リカバリーはききません。
薬局はある種独特の商習慣がある業態のため、そのM&Aは経験がものを言う分野です。
弊社YAKUDACHIは薬局M&A専門です。税務対策を踏まえ、薬局オーナー様に最適な売却スキームをご提案させていただきます。ご依頼はこちらのお問い合わせフォームよりご連絡ください。
次回は「薬局売却後のライフプラン」についてご紹介します。
実際、売却後にやることなくて、すごーく暇そうにしている元オーナーの方、結構多いです。