薬剤師の皆さんは、どうやってキャリアを築いていくつもりなんでしょうか。
所属している企業任せにしていてよいとお考えですか？
では、あなたの会社はあなたにどんなキャリアを描いてほしいと思いますか？
医療の知識があれば良く、医者の言うことを聞いていればそれでよい・・・であればどうぞご自由に。
私は薬剤師ですが、その国家資格は私の一つの保有資格でしかありません。もっといえば、私は薬剤師と言うより、薬剤師免許をもっているビジネスマンです。
一つの会社で長く働いていくにあたり、自身のキャリア形成はモチベーション維持に必要だと思います。調剤薬局ではルーティーン業務が多く、また同僚も固定化しがちですので長期的なキャリア形成に対するビジョンがない場合、モチベーションが下がり、ひいては転職を考えるようになるのではないでしょうか。
ところが多くの調剤薬局運営企業では薬剤師のキャリア形成について明確なビジョンを示していないように思われます。
ともすれば、薬局運営企業の本部は、現場薬剤師に経営に関わって欲しくないと思っているフシすらあります。
言いすぎですかね？
薬剤師の場合、企業から求められるスキルの大部分はいわゆる「現場力」ですが、ビジネスマンとして多彩なキャリアを歩んでいくために必要なスキル、例えば会計の基礎知識や経営学などは学ぶ機会がありません。
周囲にキャリア形成に成功した先輩社員でもいればアドバイスも貰えるかも知れませんが、いない場合には自発的に学ぶしかないのが現状ではないでしょうか。
ヒトは周りに流される生き物。
周囲の人達が、薬や病気のことばかり勉強していれば、自分の興味も薬の事ばかりになりがちです。
流されるままでもいいのか、それとも自分に足りないビジネススキルを手に入れたいのか。
ビジネススキルが欲しいなら、周囲に流されてはダメです。
私の場合は自分の強み弱み（いわゆるSWOT）と現在もしくは将来のポジションに求めれるスキルを整理し、以下のような行動をとりました。
薬局勤務時代に取り組んだこと
薬局運営の経験は十分なので、社内で経営層と言われる人たちのスキルを分析し、その中で自分に無いものは「営業力、会計、投資意思決定」と考えました。独学で会計と投資から手を付けました。
会計とか投資意思決定とか言われると、なんだか難しいような気もしますが、例えば株の勉強も会計や投資効果の学習になります。
株だったらお金儲けなので、大部分の方は興味が湧くのではないでしょうか。
その後、社内の新入社員研修を担当するようになり、社長はじめ経営層と接する機会が増えましたが、その際に会計知識に基づいて会話ができることが「ただの薬剤師」ではない、と自分を認めてもらうきっかけになったと考えます。
なんかこの薬剤師、他の人と違う。。。こんな違和感を持ってもらうのが初手ですね。
薬局運営企業に関して言えば、ほとんどの薬剤師は経営に関わっていません。
それは、本社の人達から見て、薬剤師＝現場スタッフとなることを意味します。
つまり、例え、ビジネススキルを持っていたとしても、色眼鏡で見られて期待されていないということ。
まずは、自分は他の多くの薬剤師とは違う、というところを感じてもらう必要があります。
子会社取締役時代に取り組んだこと
薬局経営に関しては初めての事であっても馴染みやすいものでした。ところがPMI（M&A後の統合作業）を任されるようになってからは不慣れなM&Aの現場で、しかもファイナンシャルアドバイザーや会計士と接するために、自身のM&Aに関する知識不足を痛感することになります。これも独学で知識習得することになりました。
ステージが上がると、見える景色が変わります。
現場時代に、出世したら（するには）必要だと思っていたスキルだけでは足りないものが見えてきます。
新規事業担当時代に取り組んだこと
社内でジェネリック医薬品メーカーを立ち上げるために新規事業の担当となりました。薬剤師ですので医薬品には馴染みがありますが、そもそも新規事業、スタートアップ、起業といった分野はまるで素人でした。自分に足りないものは起業マインドだと思い、書籍を買いあさって独学もしましたが、マインドの習得には環境を変えるしかないと考え、起業家グループに飛び込んで毎月交流会に出ていました。
びっくりするくらい仕事は上手く行きませんでしたが、自分が一番成長したと実感したのもこの時期です。
GEメーカーの立ち上げは、まさに初めてだらけの連続でした。薬局が小売業でメーカーは製造業です。当たり前と言えば当たり前なんですが、小売業と製造業ではビジネスに対する時間軸が違います。
シンプルに言えば、小売りは仕入れに利益を乗せて売れば儲かる。それだけ。
メーカーは大きな工場を建てて、数十年かけて償却しながらビジネスするので、目の前の利益よりも長期的な関係性を重視します。
業種が変わると時間軸が変わるという感覚を身につけられたのは大きな収穫でした。
現在は、M&Aにて自分の薬局を取得し経営、後継者のいない法人に独立希望の薬剤師を仲介したり、引受先の法人とのM&Aを仲介しています。丸10年を薬剤師サラリーマンとして過ごしましたが、振り返ってみれば過去に自分が必要と思って学んだスキルは現在に生きていると思います。大切なことは現状に満足せず（薬剤師でいいや、ではなく）、次のステップで求められるスキルを自ら学ぶことだと思います。周囲に流されて、周囲と同じことしかしなければ周囲と同じ未来にしかなりません。当たり前ですね。あなたの職場にもあなたの５コ上、１０コ上の人はいるはずです。「こんな風になりたくない」なら流されてはダメですよ。
弊社YAKUDACHIでは後継者問題にお困りの薬局経営者様に第三者承継による解決策をご提示しております。こちらのお問い合わせフォームよりご連絡ください。