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はじめに
薬局売却において「地域連携」、特に医師や病院との関係性は非常に重要です。
薬局の価値は単に売上や利益だけでなく、「どれだけ地域医療に溶け込んでいるか」によって大きく変わります。
買い手企業や投資家は、財務データだけでなく、処方元医師との信頼関係や病院との協力体制を重視します。
本記事では、薬局売却と地域連携の関係性について解説し、評価を高めるための実践ポイントを整理します。
血の通っていない、数字オンリーと見られがちなM&Aですが、運営する実務担当者にとっては薬局が医療機関であることに変わりありません。私の所属していた大手チェーンでは、M&Aの際に必ず、地域の事業会社にヒアリングし、定性的な情報も共有してから最終的な買収意志決定に至っていました。
医師・病院との関係性が売却に与える影響

- 処方箋枚数の安定性
医師や病院からの処方箋が安定している薬局は、高く評価されやすい。 - 地域包括ケアへの対応
在宅医療や多職種連携の取り組みがある薬局は、将来性が評価される。 - 患者の信頼度
地域医師と協力している薬局は、患者からも「安心できる薬局」として支持されやすい。
👉 地域医療における「信頼のネットワーク」が、売却価格や条件に直結します。
医師が薬局売却に抱く不安

- 「売却で薬局の質が落ちないか」
- 「患者が不便にならないか」
- 「自分の診療方針を理解してもらえるか」
👉 医師との信頼を守ることが、売却後の処方箋流入維持につながります。
地域連携を評価される薬局の特徴

- 在宅医療に積極的
医師と連携して在宅患者をサポートしている薬局は評価が高い。 - 病院との密接な関係
病院門前薬局や、病棟薬剤師と連携しているケースは強みになる。 - 地域医療会議・薬薬連携への参加
行政や医師会との接点を持ち、地域包括ケアシステムに参画している薬局は信頼性が高い。
医師会、薬剤師会との関係や在宅医との連携は評価が高いです。
今後の改定を見据えて対応しやすい薬局と見られます。
売却時に実践すべき地域連携の強化策
1. 医師への事前説明
- 売却を決めたら、地域の主要な医師に直接説明する
- 「患者の利便性を守る」「医師の診療方針に沿った薬局経営を継続する」と伝える
2. 病院との連携維持
- 病院の医師や看護師に対しても売却後の体制を説明
- 在宅や退院時指導の連携が変わらないことを保証
3. 地域包括ケア活動への参加
- 売却直前でも地域医療会議や薬薬連携に参加し、地域とのつながりを示す
- 「地域貢献を続けている薬局」として買い手へのアピール材料に
成功事例と失敗事例
成功事例
東北のA薬局は、売却前に主要医師へ丁寧に説明。
「在宅医療体制が継続される」ことを伝え、売却後も処方箋枚数は安定。
結果的に評価額も上がり、買い手からの信頼も獲得しました。
失敗事例
九州のB薬局は、医師へ事前説明を怠り、売却後に経営者交代を知らされた医師が不信感を抱く。
「患者に影響が出る」と判断され、処方箋枚数が大幅に減少し、売却後の経営が不安定になりました。
地域連携を高めるチェックリスト

- 医師・病院との関係性を定期的に振り返っているか
- 在宅医療や地域ケアに積極的に参画しているか
- 売却後の体制を医師に事前に説明する準備はあるか
- 買い手企業が地域連携を重視する姿勢を持っているか
まとめ

薬局売却において「地域連携」、特に医師や病院との関係性は、処方箋枚数の安定と売却価格を左右する大きな要素です。
- 医師や病院との信頼を守ることが処方箋流入を維持するカギ
- 在宅医療・地域包括ケアへの参画が高評価につながる
- 売却前に医師へ誠実に説明し、地域連携を維持することが不可欠
いかがでしたでしょうか。今回は薬局売却と地域連携につき紹介しました。
M&Aというと数字ばかりに目が向きますが、地域連携のような定性的な情報も買い手は重視しています。
次回は「薬局売却における買い手企業の視点|評価基準と選ばれる薬局の条件」についてお届けします。
買い手企業が自社をどう評価しているか、しっかり認識して必要な対策をすることで、正当な評価を引き出すことが出来ます。
是非、ご参照ください。