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はじめに

薬局の売却は、経営者にとって一生に一度の大きな決断です。後継者不在や経営環境の変化を背景に、「薬局 売却」というキーワードで検索する方は年々増加しています。
しかし、実際に売却を行った経営者の中には「思った以上に高値で売れた」「従業員の雇用が守られて安心した」という成功事例がある一方で、「もっと早く動けばよかった」「買い手と条件が合わずに後悔した」といった失敗事例も少なくありません。
本記事では、薬局売却の成功事例と失敗事例を比較しながら、読者の方が後悔しないためのチェックポイントを解説します。
皆さん、こんにちは。
YAKUDACHI鈴木です。私は薬局を3社経営しながら、主に独立向けの薬局M&A仲介をしています。
今からだいたい30年くらい前でしょうか。薬局の開業がとても盛んだった1990年~2000年くらいに開業された薬局の経営者の方が、次々と引退されています。
ご子息に承継される方もいる一方で、多くの方はM&Aで第三者に承継しています。
今回の記事では、M&Aの成功事例と失敗事例を比較して、どんなところに注意を払ったらよいか明らかにしていきたいと思います。
自分がせっかくここまで大切にしてきた薬局なので、いい加減な業者や買い手と関わって、貴重な時間を無駄にしないでください。売却は薬局経営の集大成です。
薬局売却成功事例①:複数社の比較で高額売却に成功

ある地方都市の門前薬局A社は、創業者が70代に差し掛かり後継者不在のため売却を検討しました。
最初に相談した仲介会社の提示価格は約1.2億円でしたが、経営者は複数の仲介会社に依頼し、複数の買い手候補を比較しました。結果的に1.8億円で大手チェーンに売却が決定。
成功要因
- 複数社に相談し「相見積もり」を取った
- 処方箋枚数や在宅医療対応など強みを正しく評価してもらえた
- 経営状況が安定しているうちに売却を進めた
👉 教訓:「1社だけで決めず、必ず複数社比較することが高値売却のカギ」
ここでポイントになるのは複数の仲介会社を検討していることですね。
一部の仲介では「専任契約」といって、1~3年間は他社仲介の利用を禁止させられる契約条項をアドバイザー契約の中に入れています。専任だと当然、他社仲介は利用できません。
契約内容はしっかり吟味しましょう。
薬局売却成功事例②:早期相談でスムーズな承継

地方郊外のB薬局は、経営者が60代前半の段階で将来を見据えて売却を検討しました。
税理士に相談したところ、借入金の整理・不動在庫の処分を数年かけて実施。その後、M&A仲介会社に依頼し、地元の医療法人グループへスムーズに承継が成立しました。従業員の雇用もそのまま引き継がれ、経営者自身も顧問として数年間は関与する契約に。
成功要因
- 早い段階で専門家に相談した
- 売却前に財務と在庫を整理して「見栄え」を良くした
- 従業員と患者への配慮を重視した
👉 教訓:「早期準備と専門家の活用で、売却後のトラブルを回避できる」「税理士紹介のM&A仲介には注意が必要なことも」
信頼できる専門家への相談は心強いモノですね。ただ、多くの税理士法人、地方銀行、信用金庫は大手M&A仲介会社と提携し、売手候補を紹介するとキックバックが受けられる契約になっていることも考えられます。
税理士さんに相談して「信頼できるM&A仲介会社を紹介する」と言われたら、疑ってかかった方が無難ですね。バカ高い手数料をあとから請求されますが、その中には税理士さんの受け取ったキックバックが上乗せされていることもあります。
薬局売却失敗事例①:経営悪化後の売却で評価が下落

C薬局は、売上の柱だった近隣病院が閉院し、処方箋枚数が激減。経営が赤字に転落した段階で売却を決断しましたが、買い手からの提示価格は当初想定の半額以下でした。結果的に、従業員の数名は解雇、経営者自身も多額の借入返済を抱えたままの厳しい状況に。
失敗要因
- 経営悪化後に動いたため買い手に交渉力がなかった
- 財務資料や在庫管理が整理されておらず、デューデリジェンスで減額要因が発覚
- 単独交渉で比較対象がなかった
👉 教訓:「業績が悪化する前に売却準備を始めることが重要」
門前医院の閉院は決定的ですが、Drの高齢化に伴い徐々に処方箋数が減少している薬局も売却価格が低下する傾向にあります。
大手薬局チェーンであれば3年間の業績推移で評価するので、右肩下がりはかなり印象悪いです。
3年平均で評価して欲しいところですが、実際には業績下落シナリオで評価されます。
薬局売却失敗事例②:仲介会社選びを誤ったケース

D薬局の経営者は、知人の紹介で仲介会社に相談しました。規模こそ大きかったものの薬局売却実績が乏しく、買い手のネットワークも限定的だったため、希望条件を満たす買い手が見つからず売却は長期化。結果として、経営者は半年以上も不安定な状況に置かれ、結局は当初希望よりも低い価格で売却することになりました。
失敗要因
- 仲介会社の実績やネットワークを確認せずに契約した
- 契約条件に「独占交渉権」が含まれており、他の会社に相談できなかった
- 専門家のアドバイスを受けずに進めた
👉 教訓:「仲介会社の実績・契約条件を必ず確認すること」
薬局専門のM&A仲介は少ないです。多くのM&A仲介会社はあらゆる業種のM&Aを手掛けており、一部は医療業界に詳しくない場合もあります。
薬局は少し独特の慣習があるビジネスなので、経験の少ない担当者にあたれば、全然話が通じないといったことも考えられます。薬剤師の採用事情やDrとの関係性などに配慮が足りない担当者にも要注意ですね。
弊社YAKUDACHIは薬局専門です!しかも代表鈴木は薬局経営者の薬剤師です。(ちょっと宣伝)
薬局売却、成功と失敗を分けるチェックポイント
薬局売却する際の成功事例と失敗事例を比較すると、以下のポイントが明暗を分けています。
- 売却開始のタイミング
- 成功:経営が安定している段階で動いた
- 失敗:赤字化や経営悪化後に動いた
- 仲介会社の選び方
- 成功:複数社を比較、実績豊富な専門会社を選択
- 失敗:薬局売却の実績不十分な仲介会社に依存
- 財務・在庫管理
- 成功:事前に借入金や不動在庫を整理
- 失敗:デューデリジェンスでマイナス要因が発覚
- 買い手候補の幅
- 成功:複数の買い手候補を競合させた
- 失敗:限定的な買い手しか検討できなかった
- 従業員・患者対応
- 成功:雇用維持や患者ケアを優先
- 失敗:従業員や患者の不安が増大
- まずは信頼できるM&A仲介会社や専門家に相談する
- 財務・在庫・人員状況を整理しておく
- 複数の買い手候補を比較できる体制を作る
まとめ:薬局売却を成功させるために

薬局の売却は「経営者の人生の集大成」ともいえる大きな意思決定です。
成功事例から学べるのは、**「早期相談・複数比較・徹底準備」が不可欠だということ。逆に失敗事例では、「経営悪化後の売却」「仲介会社選びの誤り」が致命的な要因となっています。
もし薬局の売却を少しでも考えているなら、
信頼できる専門家に相談することが後悔しない売却への第一歩です。
薬局の売却、M&Aを検討している方にとって、本記事が具体的な判断材料になれば幸いです。
弊社YAKUDACHIでは売却をご検討中の薬局経営者の方に、無料でM&A仲介に係る一切のサービスを提供しています。急な事情で経営や薬剤師の援助が必要な場合にも対応しております。M&Aをご検討中の方も、ご自身の薬局の売却価値が知りたいだけの方も、是非お気軽にご連絡ください。お問い合わせフォームはこちら