薬局売却と不動産・立地条件|高値売却を実現するためのチェックポイント

薬局売却と不動産、立地 薬局 M&A

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はじめに

薬局売却において「不動産・立地条件」は価格評価を大きく左右する重要要素です。
たとえ収益性が一定水準にあっても、立地条件が悪ければ買い手企業からの評価は下がります。
逆に、好立地や不動産の所有状況によっては、相場以上の価格で売却できる可能性もあります。

本記事では、薬局売却と不動産・立地条件の関係性について解説し、売却時に押さえておくべきポイントを整理します。

皆さん、こんにちは。
YAKUDACHI鈴木です。
今回のテーマは薬局M&Aにおける不動産、立地条件です。
皆さんは、同じ調剤報酬なら、どんな立地が高く評価され、どんな立地の評価が低いと考えますか。
私は前職で大手チェーンのM&A担当者でした。
私の評価は医療機関との距離が近ければ高くなり、遠ければ低くなります。
同じ調剤報酬という前提なので、シンプルに、立地が事業継続にあたえる影響を考えます。
To Cビジネスを展開している以上、立地にまさる要素はありません。


薬局売却における不動産の評価ポイント

不動産評価の重要要素
  1. 自社所有か賃貸か
    • 自社所有の場合:安定性が評価されるが、維持管理コストも考慮される
    • 賃貸の場合:契約条件(更新可否・賃料水準)が評価の鍵
  2. 契約内容の透明性
    • 賃貸契約書が明確か
    • 定期借家契約か普通借家契約か
  3. 修繕・老朽化状況
    • 建物や設備の状態が悪いと、買い手が追加投資を懸念

薬局M&Aあるあるですが、自社所有の評価が低くなりがちです。
一般にマルチプルで株価が形成されるので、自社所有不動産に関しては費用(家賃)の減額が収益を押し上げた分×マルチプル(3~8年)で評価されます。
一般的な商業用不動産の市況の半額程度になってしまいます。
つまり、M&A前に所有不動産を売却して、現金を増やしてからM&Aした方が得となることもあります。
大規模案件であれば、譲渡スキームを工夫して、会社分割で対応できますが、小規模案件では仲介も買い手も時間がかかることや、スキームの複雑化を嫌がります。
しっかり交渉しないと知らずに損してしまうこともあるので注意しましょう。
不動産まわりの譲渡スキームにつきお困りの方はお気軽にご相談ください。お問い合わせはこちら


立地条件が売却価格に与える影響

立地条件が売却価格に影響
  1. 病院門前立地
    • 医師からの処方箋枚数が安定しやすく高評価
    • 特に中核病院門前は買い手が積極的に参入
  2. 医療モール内立地
    • 複数クリニックからの処方箋を集めやすく、安定性が高い
  3. 住宅地立地
    • 在宅医療や地域密着型の薬局に強み
    • 高齢化地域では将来性あり
  4. 人口減少地域のリスク
    • 人口動態によっては将来的な処方箋枚数減少リスクがある

特に地方のM&A案件では人口動態はみられます。
国立人口問題研究所の人口動態データは広く公開されており
また、その正確性は既に証明されているので、多くの(特に大手)買い手は参照しています。


高値売却を実現する実務ポイント

高値売却を実現するポイント
  1. 賃貸契約の整理
    • 契約更新条件や賃料を明確化し、買い手に安心感を与える
  2. 不動産を含めた売却検討
    • 不動産込みで売却することで、安定経営を求める買い手にアピール可能
  3. 周辺医療機関との連携強化
    • 立地の強みを活かし、処方元医師との信頼関係を明確にする
  4. 修繕・美装の実施
    • 店舗の見栄えや衛生環境を改善しておくと、印象が大きく向上

CoC条項の確認は必須です。最悪、家主にM&A自体を否認されます。


成功事例と失敗事例

成功事例

関東のA薬局は、医療モール内立地で複数科目からの処方箋を獲得。
賃貸契約も安定しており、買い手企業から高評価を受け、想定の1.5倍の価格で売却に成功。

失敗事例

東北のB薬局は、築年数が古い自社所有物件を売却対象にしたが、修繕を怠っていたため買い手が敬遠。
結果的に不動産部分の評価が大幅に下がり、希望額に届かなかった。


不動産・立地に関するチェックリスト

売却前に確認すべき重要項目
  • 自社所有か賃貸か、契約内容を明確にしているか
  • 建物や設備の状態を把握しているか
  • 病院・クリニックとの距離や関係性を整理しているか
  • 周辺人口動態を分析しているか
  • 不動産込みで売却するか、事業譲渡だけにするかを検討済みか

所有不動産の評価が低い場合、現実的な解決策は譲渡対象から不動産を除外し、M&A後にレンタルすることです。事業譲渡の場合にはシンプルに譲渡対象から除外し、株式譲渡の場合には会社分割もしくはオーナーへの売却をすることで回避できます。


まとめ

薬局売却において不動産・立地条件は、処方箋枚数の安定性や将来性と直結するため、価格評価に大きな影響を与えます。

  • 病院門前・医療モールは高評価
  • 賃貸契約の安定性や不動産の状態が重要
  • 修繕や美装を行い、買い手に好印象を与える準備が必要

いかがでしたでしょうか。
不動産はM&Aの譲渡価格に大きな影響を与える要素です。
不当に低く評価されないよう注意してください。

次回は「薬局売却と医薬品在庫・仕入れ契約|承継時の評価とトラブル回避のポイント」をお届けします。
業界の景気が悪くなってきたから、買い手の属性によって卸が継続取引を否認するケースが散見されます。注意しましょう。
狭い業界なので、お行儀の悪いプレーヤーは排除されますね。