実際に独立した社長が明かす薬剤師のためのM&A資金借入の方法

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M&A資金を借入で賄うと、独立の敷居がグッと下がります。自己資金をリスクにさらさずに済むので、独立の際は、フルローン、無担保、無保証人がベストです。

こんにちは。薬剤師独立M&Aコンサルタントの鈴木重正です。

私は薬剤師として一軒の薬局を経営しています。私の薬局はM&Aにて以前、取得したものです。

それまでは大手薬局チェーンのサラリーマンでしたので、手持ちキャッシュで薬局を取得できたわけもなく、もちろん、M&A資金は借入金で調達しました。

事業資金の借入、特に起業したての法人の場合にはいくつか特徴があると思いますのでここに記しておきます。

一般的なサラリーマン薬剤師の方は住宅ローンくらいしか借り入れの経験はないと思います。

私の場合は住宅ローンの借り入れ経験もなかったので、借入自体が全く初めての経験でした。何かのご参考になればと、以下3点につき書き記しておきます。

  • 金融機関の選び方
  • 申込書類作成のコツ
  • 金融機関担当者との折衝(どこを見られているか)

独立薬剤師のための金融機関の選び方

サラリーマン薬剤師の方の場合、金融機関とのお付き合いのある方はまれだと思いますので、借入初心者の前提でお話しします。

M&Aの設備資金と事業資金は小さな案件でも合計1000万円以上かかるので、ほとんどの方はお金を借りてスタートすると思います。借入を起こす相手(つまり貸してくれるところ)は大きく分けて以下の3つが候補となります。

  • メガバンクや地方銀行など一般的な銀行
  • 日本政策金融公庫
  • 地方自治体

多くの独立薬剤師が利用するのは日本政策金融公庫です。そもそもの設立趣旨からも、一般的な銀行が融資しづらい案件にも積極的と言えます。

メガバンクや地方銀行など一般的な銀行

一般的な銀行は創業融資にあまり向いていません。これは皆さんの銀行のイメージとも重なると思いますが、銀行の融資審査は高い水準の安定性が求められるので、営業実績のない法人などはそもそもそのターゲットではありません。担保として提示できる不動産がある場合や、裕福なご親族の保証が受けられる場合を除いては創業融資には向いていないと思います。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は一般的な銀行とは大きく異なる金融機関です。政策金融機関の一つに分類され一般的な銀行には担うことのできない、政策的に必要な融資を扱っています。そもそもの設立の目的は下記の通りです。

(目的)
第一条 株式会社日本政策金融公庫(以下「公庫」という。)は、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援する~

株式会社日本政策金融公庫法 抜粋

日本政策金融公庫は創業支援、さらには事業承継(M&A)に対する融資も一般的な銀行に比べて積極的に対応してくれています。薬剤師のM&Aを利用した独立の際には「新規開業資金貸付」という制度を利用することができます。著者自身、新規開業資金貸付により創業時のM&A資金を調達(無担保、無保証人、フルローン)しました。日本政策金融公庫の場合には一般的な銀行と違い、担保不動産や保証人といった信用力の裏付け無し創業者のスキルや人物像、新規事業の社会的意義、将来性などを勘案して融資審査を進めてくれるので、これから独立される薬剤師の方にも最適だと思います。YAKUDACHIでは日本政策金融公庫への融資申込のサポートもしております。

地方自治体

地方自治体も創業支援には積極的で、各地域の中小企業支援センターが相談に乗ってくれます。例えば著者の住む北海道の場合には札幌中小企業支援センターの開設する特定創業支援等事業相談窓口「さっぽろ創業支援プラザ」があり無料で創業支援の相談に乗ってくれるほか、一定要件を満たすと登録免許税の減免や、信用保証の特例を受けることができます。

独立したいが何から手を付けたらよいかわからない人や、誰に相談したらわからない人などは一度、訪ねてみると良いと思います。

独立薬剤師のための融資申込書類作成のコツ

創業支援として融資を受ける際には一般的な融資と違い、不動産担保や保証人といった信用力の裏付けが全てではありません。そこで各融資制度が求める審査基準のポイントを押さえる必要があります。

創業支援と銘打った融資制度の場合には”社会性”、”計画性”がキーワードになります。新たに始めようとしている事業が社会の役に立つかどうか、融資申し込みをしている人物がその事業を進めていくうえで適格かどうかです。

銀行融資のキモは、社会に役立つ事業で、かつ、計画的に返済が出来ること。

社会性のアピール

M&Aを利用して薬局経営をされる方の場合には社会性はアピールしやすいテーマです。そもそも薬局は医療インフラとして社会に必要なことが国家に認められているので、そのままに書けばいいだけです。とりわけM&Aなので、社会に必要な薬局を自身が承継する事により継続できる(逆に言えば自身が承継しないと消滅の危機にある)、また、これからの日本が高齢社会を迎えM&Aを利用した経営者の世代交代はますます必要になってくる、といったことをアピールすると良いと思います。

計画性のアピール

これも実は書きやすいテーマだと思います。M&Aの場合にはそもそも事業計画も何も過去の事業実績があるため3年分程度のPLをもとに資金計画を作成して借入金と返済予定を埋めれば、一般的にはかなり高いレベルの計画性を持った貸出先と判断されます。YAKUDACHIでは事業計画の作成もサポートしております。

独立薬剤師のための金融機関担当者との折衝(どこを見られているか)

自分が適格者であるアピール

申込書類を提出すると金融機関担当者の方との面談に進むと思われますが、面談ではご自身がその事業を進めていくにあたり適格であることをアピールします。薬剤師の方が薬局経営をするのは至極当然なので、ご自身の薬剤師経験をお話すればよいです。もし、薬局経験のない方の場合、例えば製薬会社のMRとしてキャリアを積んできた方では、薬局経営における処方医とのコミュニケーションの重要性を訴えると良いと思います。また、ご自身の周囲に頼れるアドバイザーがいることもアピールポイントになります。ご学友やご友人に薬局経験者は豊富にいらっしゃると思いますし、YAKUDACHIでも薬局運営のサポートをしています。

その他(身だしなみ)

よく言われることですが、面談には身だしなみを整えて臨みましょう。薬局で長年働いてこられた方の場合には、スーツやネクタイの着用に違和感あるかもしれませんが、薬剤師であるだけでなくビジネスパーソンとして一流であることを伝えるべきです。ご自身が経営者として信頼できる人物かどうか、それを初対面のあなたのことを何も知らない担当者に判断してもらうためには、第一印象は極めて重要になります。スーツが嫌いでも、ネクタイが主義に合わなくても、なんでもいいのでスーツにネクタイで面談に臨みましょう。Tシャツやジーパンでビジネスするのは、ジョブスやホリエモンになってからです。

独立薬剤師に資金調達は必須

資金調達はスタートアップのメインテーマの一つ。是非、スムーズに実現してご自身のマイビジネスを成功させてください。

独立するときは資金調達だけでなく、物件精査、案件調査、現職の退職手続き、各取引先との契約などなど、やることが盛りだくさんです。

資金調達はすんなり終わらせて、ご自身の注力すべき仕事に時間を確保してください。YAKUDACHIでは独立希望の薬剤師の方に資金調達のお手伝いもしております。お気軽にご相談ください。