2020最新レポート調剤薬局各社売上ランキングと変動要因

ランキング 薬局




調剤薬局各社発表数値の中から、最新の売上情報をまとめました。
今回ご紹介する多くの会社は、新型コロナウィルスの影響をまだあまり受けていない決算期での売上ですので、ご注意ください。

年明けから新型コロナ患者は発生していたけど、売上に影響するくらい患者数が減ったのは3月あたりからですね。

その通りだね。John。新型コロナウィルス患者(1例目)として厚生労働省が発表したのは今年のはじめ1月16日だったけど、世の中の雰囲気が変わって受診患者数にまで影響したのは3月下旬から4月以降じゃないかな。

東証など証券市場に上場している大手チェーンの決算は3月と4月に集中しているから、今年発表されている売上には、ほとんど新型コロナの影響が含まれてないってわけね。

そうそう。Stephanie。わかってるね。
それでは、以上を踏まえたうえで、調剤薬局の売上をランキング形式で紹介します。

調剤薬局各社の売上は、運営会社の決算発表から調べます。

ちょうど3月、4月の各社決算が6~7月に発表となりましたので 最新データを基にランキング形式でご紹介します。

なお、売上上位5社の紹介や過去からみた売上変動要因も併せて記載しました。

大手薬局チェーンに転職を希望されている方は、現時点での売上だけでなく 事業構成や売上の変動要因も併せて検討すると、会社の真の姿が見えてくると思います。

2020最新調剤薬局各社売上ランキング

ナンバーワン

今回ご紹介する売上ランキングは、各社の公表数値を当社でまとめたものです。公表されるタイミングは各社ごとバラバラなので、同一時点の比較になっていないことに注意してください。

また、売上数値が公表されていない会社は掲載していません。医薬品卸が経営する調剤薬局はランキングに含めましたが、ドラッグストアの店舗併設型調剤は含んでいません

順位会社名調剤売上高(百万円)主な薬局名称集計対象期
1㈱アインホールディングス263,750アイン薬局20/4
2日本調剤㈱231,001日本調剤〇〇薬局20/3
3クラフト㈱191,617さくら薬局19/3
4クオールホールディングス㈱153,185クオール薬局20/3
5総合メディカルホールディングス㈱106,282そうごう薬局19/3
6㈱スズケン96,439ファーコス薬局20/3
7東邦ホールディングス㈱96,124共創未来〇〇薬局20/3
8㈱メディカルシステムネットワーク89,919なの花薬局20/3
9㈱アイセイ薬局68,400アイセイ薬局19/3
10フロンティア(ワタキューグループ)51,600(他事業含)フロンティア薬局19/6
調剤薬局事業売上ランキング 各社公表数値を基に著者作成

以上のような順位となっています。ちなみに一位のアインホールディングスのアインとはドイツ語で「1」です。

実は調剤薬局の売上ランキングは5年以上変動ありません。売上高の公表が無いI&H㈱が急伸している以外は、大手に順位変動はありません

ただし、順位に変動がないとはいえ、近年、日本調剤㈱が急速にトップのアインHDを追いかけていること(連結売上の伸び率は日本調剤がアインの約1.5倍)や、クラフト㈱がアイン、日本調剤に迫ってきたことなど、トップグループの中では動いています

クラフト㈱の5年前(2014年)の売上高は1,230億だったので、2019年の売上高1,916億は5年間で+59%!!!。驚異的な伸びだね。

調剤薬局は長らくアインと日本調剤の2強と言われてきたけど、この5年でクラフトがトップグループに食い込んだな。

それではここから先は、売上TOP5社の事業構成や売上変動要因につき、各社の決算資料などから読み解いていきます。

なお、薬学生の皆さんも、興味のある会社の公表資料は是非、目を通してみてください。
確かに財務資料は難解なものも多く、読みづらいかも知れません。
初めは決算説明会の動画や、決算説明会資料などがとっつきやすくておススメです。
いきなり、有価証券報告書とか読み始めるとウンザリするのでやめましょう

調剤薬局売上TOP5各社 事業構成と売上変動要因

2020

それでは調剤薬局売上TOP5各社の事業構成と売上の変動要因をご紹介します。

単に売上と言っても調剤売上だけでなく、大きな会社は様々な事業を行っている場合があります。例えば今回はご紹介しませんが、6位のスズケンは調剤薬局事業以外に様々な事業を行っている4大医薬品卸の一つ。全体売上高は2兆2300億と巨額です。

調剤薬局だけを見ても、会社の本質は見えてきません各社の事業構成やどういった要因で売上その他が変動しているかを分析することで、様々な視点から対象企業を分析することができます。

㈱アインホールディングス 薬局事業の売上やその他事業構成

アインの特徴は圧倒的に強い調剤薬局。ただし、物販(リテール事業)も200億を超え存在感がある。消費税率も10%となり、ますます課税売上の恩恵を受けやすくなった

アインズ&トルぺというブランドの駅前中規模サイズのドラッグストアを展開しているね。

店舗数こそ64店舗(2020年8月)と、そこまで大規模ではないけど、主要都市の好立地に出店しているので1店舗当たりの売上(約4億)は大きいよ。

それでは、2019年4月期と2020年4月期を調剤薬局(ファーマシー事業)と物販(リテール事業)に分けて見比べてみよう。

2019/42020/4前期比
売上高(百万円)245,003263,750107.7%
営業利益額(百万円)17,85920,295113.6%
新規開局(オーガニック)2314
M&A1346
総店舗数1,1321,088
調剤薬局(ファーマシー事業)前期比 同社決算補足資料より著者作成 

2019年から2020年にかけて売上は順調に伸びて利益も同様。だけど、実は総店舗数は減少してるんだね。

さすが、John。良いところに目を付けたね。
アインは前回の調剤報酬改定前にも同様に、M&Aをぎゅっと絞ってスクラップ&ビルドを進めたよ。
調剤報酬の動向を見極めてからM&Aを再開するので、今年は(コロナが無ければ)増やす年だったんじゃないかな。

それでは次にアインズ&トルぺのリテール事業を見てみましょう。

2019/42020/4増減比
売上高(百万円)25,21024,70198.0%
営業利益(百万円)90315717.4%
アインズ&トルぺ(リテール事業)前期比 同社決算補足資料より著者作成

売上高は微減利益は8割以上の大幅マイナスとなっています。

リテール事業はファーマシー事業と比べて見劣りするな。

いや、John。そんなことないと思うよ。
リテール事業は中国人観光客の影響を受けやすいことを考慮しないと。
中国では去年からコロナの影響があるから、リテール事業はむしろ堅調に見えるよ。

下は、リテール事業の出店数推移だけど、スクラップ&ビルドでしっかり筋肉質な事業を作ってきて前期は(コロナさえ無ければ)飛躍の年だったんじゃないかな。

16/417/418/419/420/4
出店数594715
総店舗数5252485463
リテール事業 出店数推移 同社決算説明会資料より著者作成

アインのリテール事業ターミナル駅の好立地に出店が多いので、出店の年は費用がかさみ利益が取りづらいと思います。そのうえ、見込んでいた中国人観光客の売上がほぼ半期にわたって消失したわけで、売上微減で利益大幅減といっても、むしろ優秀な数字だったのではないでしょうか。新型コロナがなかったとしたら・・・、見てみたかった気がします。

次に日本調剤株式会社を紹介します。

日本調剤㈱ 薬局事業の売上やその他事業構成

日本調剤は特色がはっきりしている会社です。薬局名の付け方にもそれが表れていて、必ず日本調剤〇〇薬局という名称で統一しています。

他社と違って✖✖薬局〇〇店という名前の付け方をしてないんですね。

自分たちの薬局が商店ではなくて、医療なんだと強烈に打ち出していますね。
まずは同社の調剤薬局事業から見てみましょう。

18/319/320/3前年同期比
売上高(百万円)205,192208,622231,001110.7%
営業利益(百万円)12,4118,7079,785112.4%
期末店舗数585598650108.7%
1店舗当たり売上高(百万円)359352370105.0%
調剤薬局事業 同社決算説明会資料より著者作成

19年3月期は調剤報酬改定の影響で増収減益となっています。ただし、20年3月期はしっかり持ち直して、増収増益となりました。

日本調剤の調剤薬局事業に特徴はありますか?

同社の調剤薬局事業の特徴は上の図にも表れています。Johnはどこが特徴かわかるかな?

ん?言われてみれば1店舗あたり売上高が3億7千万ってすごく大きいですね。全国の薬局の平均売上高と比べてもすごく大きいような。

その通りだよ。John。全国の薬局数、調剤医療費、平均売上高(調剤医療費)は下の表の通り。

全国の薬局数調剤医療費1薬局当たり平均調剤医療費
2019年度59,6137兆4,746億円1億2,539万円
厚生労働省統計情報・白書より著者作成

全国の薬局の平均売上1億2千万ちょっとなので、日本調剤はざっと3倍以上ですね。

そう。日本調剤の調剤薬局事業の最大の特徴は1薬局当たりの平均売り上げが大きいことだね。
では、次に薬局以外の事業についてみてみましょう。

日本調剤では調剤薬局以外医薬品製造販売事業と医療従事者派遣・紹介事業があります。
ジェネリックメーカーと薬剤師紹介・派遣ですね。
まずは医薬品製造販売事業から見てみてましょう。

18/319/320/3前年同期比
売上高(百万円)38,06640,65943,072105.9%
営業利益(百万円)1,1941,8851,30169.0%
医薬品製造販売事業 同社決算説明会資料より著者作成

利益は凸凹してますが、売上高は順調に伸びてますね。

日本のGE市場はだいたい9000億と言われていて、同社のシェア現在5%前後と推察されます。国内GEメーカーとしては現在7番手です。
ただし、自社工場の生産能力を考えると、まだまだ伸びる余地がありそうです。

それでは次に医療従事者派遣・紹介事業を見てみましょう。

18/319/320/3前年同期比
売上高(百万円)11,97013,08312,72197.2%
営業利益(百万円)1,8421,4781,851125.2%
医療従事者派遣・紹介事業 同社決算説明会資料より著者作成

120~130億の売上が紹介手数料と派遣受託で成り立ってるって凄いことですね。

その通りだね。Stephanie。薬局の売上に比べたら、紹介手数料や派遣委託費用はほんの一部でしかありません。
逆に言えば、その比較的小さな市場の中では、同社の存在感はかなり大きいと言えそうです。

ただし、新型コロナウィルスの影響が同事業の今後にどのような影響を与えるか、注意が必要と思われます。

日本調剤は確かにメディア等で批判も多いのは事実です。代表者の報酬が揶揄されることもありました。ただし、時代のニーズを先取りして、先陣を切ってきたのもまた事実。後発品への変更かかりつけ薬剤師などの施策を強烈に打ち出してきました。GEメーカーも他社に先んじて設立し、つくば工場への大規模投資が英断だったと言われる日がくるでしょう。うわさの類に惑わされず本質を見ようとすれば、同社は強い。私はそう思います。

それでは次に現在は非上場企業として運営されているクラフト株式会社をご紹介します。

クラフト㈱ 薬局事業の売上やその他事業構成

クラフトは非上場企業の為、残念ながら情報が非常に乏しいです。
数少ない情報ソースの中から、売上高の経年変化をご紹介します。

15/316/317/318/319/3
売上高(億円)1,3591,6351,6801,8571,916
マイナビ2021 企業検索ページより著者抜粋

順調に売り上げ拡大しているようですね。

同社は長らく非上場企業として運営されているので、なかなか見えてこない部分もありますが、少なくともアイン、日本調剤に肩を並べる規模であることは間違いなさそうです。

同社は調剤薬局以外にクラシス株式会社として医療系の人材紹介・派遣事業を運営しています。
薬剤師の方には「ヤクジョブ」と言った方が馴染みがあるかもしれませんね。

持田香織さんの薬剤師紹介会社ですね。

そうそう。薬剤師業界では知名度高いですね。設立も1996年なので薬剤師紹介としては歴史のある企業と言えます。
つづいてクオール株式会社です。

クオールホールディングス㈱ 薬局事業の売上やその他事業構成

クオール薬局はひょっとしたらこれまでご紹介してきた各社よりも一般の方に知名度が高い薬局かもしれません。

よくエキナカとかで見る気がするね。

クオール薬局JRや小田急、東急のエキナカをはじめ、ビックカメラやローソンとの協業薬局など、消費者への露出の高い立地に薬局を開設しています。
まずは調剤薬局事業の最近の動向から見てみましょう。

19/320/3前年同期比
調剤薬局事業売上高(百万円)134,122153,185114.2%
調剤薬局事業セグメント利益(百万円)6,3497,255114.3%
調剤薬局事業セグメント概況 同社決算説明会資料より著者作成

調剤薬局事業は順調に成長しているように見えますね。

確かに順調に成長してますが、出店数とその内訳をみるとより深く理解がすすみます

15/316/317/318/319/320/3
新店161118201718
M&A1634125145039
期末店舗数538563696718766805
調剤薬局事業出店数と期末店舗数 同社決算説明会資料より著者作成

結構M&Aでの規模拡大が大きいですね。

その通りだね。Stephanie。2015年から2020年まで6年間で378薬局を開設したうち、278薬局、約7割はM&Aによるものだね。
それと、もう一つ、何か気づかない?

2015年期末店舗数が538で2020年が805だと、5年間で267しか増えてないですね。
結構、閉局してそう。

その通りだね。2015年期中の増加、新店16、M&A16は期末店舗数に含まれるとして、2020年期末までの増加分267に対して、新店とM&Aで346薬局を開設してるんだ。
つまり差分79の主な要因は閉局もしくは譲渡だね。
その間の新店が84なので、大体新規開局と閉局が同じ数。ということは、同社の成長ドライバーはM&Aだと言えるでしょう。

つづけて調剤薬局事業以外を見ていきましょう。同社には医療関連事業として薬剤師紹介派遣やMR派遣、さらには2019年8月にM&Aで傘下に収めた藤永製薬による医薬品製造販売があります。

薬剤師紹介派遣のアポプラスステーションも2012年にM&Aにより取得したものです。同社は積極的にM&Aを利用して事業拡大を図っています。

20/321/3予想
医療関連事業売上高(百万円)13,45215,832
医療関連事業セグメント利益(百万円)1,3441,784
医療関連事業売上、利益  同社決算説明会資料より著者作成

2020年期中にグループ入りした藤永製薬2021年は実績にフル寄与する上、グループシナジーも見込まれるので、今後が楽しみです。

それでは最後に総合メディカルをご紹介します。

総合メディカルホールディングス㈱ 薬局事業の売上やその他事業構成

総合メディカルは2020年4月にMBOにより上場廃止したため、現在は非上場企業です。ではまず調剤薬局事業から見ていきましょう。

18/319/3増減
調剤薬局売上(百万円)109,918106,282▲3,636
期末店舗数687698+11
新規出店合計1817
うちM&A65
薬局データ(売上高・店舗数推移) 同社決算説明会資料より著者作成

MBOを控えてか、静かな2年間だったようですね。続いて薬局以外の事業を見てみましょう。
同社は医師転職支援や開業支援、病院へのTVレンタルや医療機器のリースを行っています。

18/319/3増減率
コンサルティング(百万円)2,2472,3906.4%
レンタル(百万円)5,6767,92939.7%
リース・割賦(百万円)9,70011,15615.0%
その他(百万円)6,92315,907129.8%
事業別損益 同社決算説明会資料より著者作成

内訳はともかく近年絶好調だったのは間違いなさそうだね。

そうですね。これまでに積みあがった開業実績や医師登録数が収益に反映されてきたのではないでしょうか。この意味を最もよく理解していたのは同社の経営陣でしょう。
逆に株式市場が評価しきれていなかったのではと、疑問に思います

調剤薬局各社の売上を振り返ってみました

コーヒー

最後まで読んで頂きありがとうございました。

今回は薬局各社の売上に焦点を当てて、振り返ってみました。

同じ薬局大手と言っても、その成長戦略や薬局とシナジーを見出す事業分野に違いがあることが見えてきたのではないでしょうか。

皆さんの薬局大手各社に対する理解が進んだとしたら、著者として喜びです。

なお、当社YAKUDACHIでは「そろそろ引退を・・・」とお考えの薬局経営者様、ご自身の後継者をお探しの薬局経営者様に、事業承継を手数料無料にてご提案させていただいております。企業への売却はもちろん、当社には独立希望の薬剤師も多数登録ありますので、是非一度、ご相談ください。お知り合いにも是非、ご紹介ください。

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