求人でよく見る調剤薬局事務というお仕事。
興味はあるけど医療関係は全く経験ないし、自分でもできるかな?
そんな風に感じている方向けに、今回は調剤薬局事務の仕事内容や待遇、未経験でも就職できる理由につき【超初心者向け】に簡単解説しました。
採用試験対策や薬局ごとの待遇の違い、就職した後のキャリアパスについても書いています。
調剤薬局事務は未経験でも正社員が狙えるのでお勧めです。
あなたもおじいちゃん、おばあちゃんのアイドルになれますよ!
この記事がピッタリな読者は・・・ ・医療業界未経験でも働いてみたい人 ・高卒で資格もないけど正社員で働きたい人 ・薬局事務に実際応募しようとしてる人 です。
こんにちは。合同会社YAKUDACHI社長の鈴木重正です。私は現在、薬局を経営して います。前職では大手薬局チェーンにて薬局事務スタッフの採用に携わっていた経験があります。
私が採用に関わった数、履歴書総数なんと1000名以上。応募してくださった方の中には薬局や病院の経験を持つ人もいましたが、採用された方の多くは未経験でした。
薬局の事務スタッフになるには資格が必要と思い込んでいる人、結構多いです。
意外と知られてませんが、薬局事務は未経験でも採用されます。通信講座の資格とかで調剤薬局事務をよく見るので、てっきり資格がないと就職できないと思われがちです。
是非、最後まで読んで頂いてしっかり調剤薬局事務のお仕事に詳しくなり、もし、自分に合うと思ったらエントリーしてみてください。
Contents
これだけは押さえたい、調剤薬局事務の仕事内容
あなたは調剤薬局事務と聞いてどんな仕事を想像するでしょうか。一般的なイメージは受付で処方箋を受け取ってコンピューターに何やら入力している人、そんなところでしょうか。
また、一般には比較的楽な仕事で、休みも取りやすい、そんなイメージもあるように思います。
調剤薬局事務の仕事内容
実際に私の経営する薬局の事務スタッフの方の仕事内容は下記の通りとなります。
薬局内外の掃除
朝、薬局に来て一番初めにする仕事は掃除です。薬局は厳しい衛生管理が求められるため調剤室、待合室ともにピカピカに掃除します。薬局によってマチマチだとは思いますが、当薬局の場合には調剤機器は薬剤師、その他は事務スタッフが掃除する役割分担になっています。
処方箋受付
一番、調剤薬局事務のイメージにあるのが処方箋受付ではないでしょうか。処方箋を持って来局した患者さんから処方箋を受け取り、問診票の記入を依頼したり、ジェネリック医薬品の希望を聞いたりします。その後の調剤の内容に影響するため、とても重要なパートです。しっかり患者さんの要望や状況を聞き取りましょう。
レセコン入力
処方箋に記載された内容をレセプトコンピューター(通称、レセコン)に入力します。処方された薬の内容だけでなく、患者さんの名前や処方したお医者さんの情報など、様々なデータを入力します。ここで作成された内容を基に今回の会計金額が計算され、月末にはレセプト(診療報酬の保険請求明細)となって支払基金などの保険者への請求に用いられます。
調剤補助
薬剤師さんのお手伝いとして簡単な調剤の補助も調剤薬局事務の仕事の一つです。以前は調剤室内での補助作業はご法度とされていた地域もありますが、現在では厚生労働省から正式に通達も出ており、安心して調剤補助に従事できます。ただし、麻薬は触れませんので、ご注意を。
経理事務
薬局も一つの営業所です。毎日の売上その他、レジ締め作業があります。また、多くの薬局では各種業者さんへの支払いも事務スタッフの方の仕事となっています。
POP作成や薬局内装飾
大規模な薬局チェーンにでも就職しない限りはPOPや薬局内装飾もお手製です。私の薬局では春夏秋冬季節の移り変わりとともに薬局内の装飾をリニューアルしているので、みんなでワイワイしながらやってます。小学校の工作みたいで楽しいですよ。
調剤薬局事務の待遇
調剤薬局事務の収入水準はあまり高くありません。ただし、いわゆる大手チェーンの正社員であれば、福利厚生面もしっかりしていて、求人募集に書いてある月給の金額以上のメリットはあると思います。
また、お休みに関しても同様で、上場企業であればきっちり有給も取れるので、大手チェーンの事務として働くメリットは大きいです。
ただし、お休みに関しては薬局ごとの違いがあります。大きな病院の前の薬局の場合は、その薬局自体の営業日が平日のみの場合が多いので必然的に土日休みが当たり前となります。逆に個人のクリニックの近くの薬局や商店街にある薬局では営業時間が不規則になりがちです。
調剤薬局事務は未経験でも採用される理由
医療系の正社員希望の方に人気の調剤薬局事務の仕事ですが、意外と未経験でも採用されます。
未経験OKでの調剤薬局事務の募集状況
とある求人サイトで実際に調剤薬局事務の求人を検索したところ、日本全体で約30,000件の求人がヒットしました。このうち未経験OKのフラグが立っていたのが15,500件でした。ざっと半分以上の求人で未経験OKであるようです。
未経験でも調剤薬局事務が採用になる理由
未経験でも調剤薬局事務としての採用が多いのにはいくつか理由があります。
ひとつは調剤薬局事務は「薬局の顔」だからでしょう。笑顔の素敵な方や応対の気持ち良い人などが薬局の受付にいてくれると、それだけで薬局が華やかになります。様々なスキルは確かに必要ですが、笑顔や応対などの経験によらないスキルは調剤薬局事務として働くうえでも高く評価されます。
また、薬局によって事務スタッフに求める仕事内容が異なる点も未経験が採用になる理由の一つです。逆に言えば、他社での経験が役に立ちづらいということ。薬局が変われば使用するレセコンも変わり、一から覚え直しですし、業務フローも違います。教える側から見ても、他社のやり方に慣れてしまった人に教え直すよりも、一から教えた方が教えやすかったりします。
未経験で調剤薬局に事務として採用になりやすい人の特徴
未経験で調剤薬局の事務に採用されやすい人には特徴があります。それは、前述の未経験が採用になる理由でも述べましたが、笑顔や接遇態度です。
調剤薬局事務の仕事内容は患者さんとのコミュニケーションが主体、笑顔や接遇態度は、ある程度研修などで向上するかもしれませんが、むしろもともとの素質が大きく影響します。
もし、あなたが未経験で調剤薬局の事務職を狙っているのであれば、是非、面接では笑顔や接遇態度を意識しましょう。持っている資格や経歴以上にあなたの笑顔は面接官に見られています。
調剤薬局事務として採用されるには
ここからは笑顔や接遇態度以外に調剤薬局事務として採用されるために役立つポイントをご紹介します。
履歴書で確認されること
調剤薬局事務として採用されるためには、そもそもまずは面接まで進まなければなりません。多くの企業では採用ステップとして①履歴書選考、②面接としているので、履歴書では面接に進むため、落とされないことが重要になります。以下のポイントに注意して履歴書作成しましょう。
- 顔写真
- 文字のきれいさ
- 適度なボリューム
顔写真は自然な笑顔の方が良い
履歴書の写真は真顔でなければならない、といった風潮がありますが、笑顔でも全然OKです。むしろ、人気の求人の場合、採用担当者はうんざりするほどの枚数の履歴書をみるので、文字情報は流し読みされてしまいます。笑顔の印象が残っていれば、面接まで進む可能性は上がります。ただし、あまりに「笑っている」写真ではなく、あくまで「微笑み」程度の笑顔にしましょう。
履歴書の文字はきれいに、ていねいに
ほぼすべての採用対策本で書かれますが、文字はきれいに書きましょう。書かれている内容も重要ですが、文字を読むのが採用担当者なので、彼らの印象に残るのは、むしり内容より文字のきれいさだからです。また、就業してからも薬局事務として患者さんや、同僚の薬剤師さんなど、文字を書いて渡す機会もありますので、きれいな文字は好印象です。
履歴書は書きすぎない。適度なボリュームに収める
履歴書の内容は、採用されたいがあまりに、ぎっしり文字だらけの人がいますが、残念ながら逆効果です。私も採用担当者として数多くの履歴書を見てきましたが、中には便せんに志望動機を手書きで書いてくる人など、気合の入った方がいました。ただ、採用する側からすると、履歴書での選考はあくまで予備審査。多くの応募者から面接に進む人を選ぶ段階なので、一人にかける時間は限られています。適度なボリュームの履歴書としましょう。
調剤薬局事務の面接で聞かれることと模範解答
無事、履歴書選考を通過し面接まで進めば、とうとう最後の関門です。しっかり準備して面接に臨みましょう。
よく聞かれる質問事項
よく聞かれる質問事項は以下の通りです。
- 志望動機、志望理由
- 前職の退職理由
- 現在までの経験
- 逆に質問ありませんか
模範解答
・志望動機
志望動機を聞かれた場合の模範解答は、①なぜ医療関係を目指したか、②なぜその会社(薬局)を目指したか、この2部構成にすべきです。①の医療関係を目指した理由については多くの応募者が答えますが、②のその会社を目指した理由は弱いことが多いです。そこで、面接の前に、実際に応募する会社が運営している薬局を覗きに行きましょう。働いている人の姿や薬局内の様子など、良いと思ったことをメモしておき、面接の際に志望動機として使います。「以前、何度かこちらの薬局を利用させて頂いた際に・・・・」と話せば、面接担当者の印象はグッと上がります。また、薬局利用者を不採用とすることへの心理的な抵抗もあるので、あなたの採用確率は間違いなく上昇します。
志望動機を聞かれたときは、なぜその会社(薬局)を目指したかを答えましょう。
・前職の退職理由
前職の退職理由は整理しておきましょう。実際の退職理由は人それぞれなので、対策のしようがないようにも思えますが、実は結構、準備が必要です。面接の際に退職理由を聞く面接担当者は、実は「なんで」退職したかは重視してません。むしろ、応募者が退職理由をちゃんと自己分析できているかどうかを見ています。しっかりと退職理由は整理して答えましょう。あいまいな回答しかできなければ、採用したところでよくわからない理由で辞めていく人と見られます。当然、不採用の確率があがります。
・現在までの経験
面接の時に自己アピールのように経験を話す方は多いです。ただし、経験がアピールになるのは募集企業で役に立つ場合のみです。面接官は経験がどのように募集職種に役立つかが聞きたいので、自分すごいでしょアピールはいりません。自分の経験が調剤薬局事務の仕事内容にどう役に立つかを伝えましょう。
・逆に質問ありませんか
質問ありませんか?と、面接官に聞かれたときは自己アピールの最大のチャンスです。
質問は当然、待遇の事やお休みの事など、本当に聞きたいことに使って構いません。ただし、面接の最後などに聞かれやすい質問なので、自己アピールとしても使えます。あなたが採用になった後の姿を面接官に想像させる、そんな質問を投げかけましょう。例えば・・・
・採用されたら早く皆さんと打ち解けたいのですが、お休みの時の会社行事、イベントはありますか?
・未経験でも調剤事務の仕事内容がわかるおススメの書籍はありますか?
・調剤薬局事務として経験を積んだ後の次のステップ、ポジションはありますか?
などの質問をされると、面接担当者は(採用されて)事務スタッフとして働いているあなたを想像してしまうので、選考には大変有利になります。
調剤薬局事務の次のステップ・キャリアパス
実際に調剤薬局事務として採用され、5年、10年と勤めていくと一部の方は次のステップを求めると思います。
中小企業の運営する薬局の場合には社内にポジションが見つからないかもしれませんが、大手チェーンの運営する薬局の場合には事務スタッフとして採用された方の進みやすいポジションがいくつかあります。
- 研修担当者
- 採用担当者
- 本社経理、総務スタッフ
- その他
研修担当者
調剤薬局事務の方の次のステップとして、比較的多いのが研修担当者です。
これは新入社員の事務スタッフなどの教育研修を行うポジションで、当然、事務スタッフとしての経験が必要になるため、各企業に一定数あるポジションです。
また、接遇やコミュニケーションといった研修項目であれば、新人事務スタッフだけでなく、ベテラン事務や薬剤師も受講するため、講師としてもやりがいのあるポジションと言えます。
採用担当者
採用担当者も事務スタッフとしての経験が役立つため、大手チェーンでは一定数あるポジションです。自分が薬局で勤務していく中で、どんな人物が薬局に向いているか、もしくは向いていないか経験的に知っているため、優秀な事務スタッフほど優秀な採用担当者として活躍することでしょう。
また、調剤薬局事務の仕事内容にも精通しているため、求職者の方への説明にも経験が役立ちます。
ただし、中小企業では社長や役員が採用を担当しているケースが多いため、事務スタッフのキャリアとしては望めないかもしれません。
本社経理、総務スタッフ
薬局の事務スタッフから本社スタッフへの転向もよくみられるキャリアアップです。
本社スタッフは薬局のサポートが業務内容の為、薬局実務がわかっていることが必要になります。多くの本社スタッフは薬局事務からの転向組です。
会社によっては本社スタッフになってからは、給与体系が変わり、有利になる場合もありますので、十分目指す価値はあると思います。
その他
代表的な薬局事務スタッフからのキャリアアップは以上の通りですが、会社によってはそれ以外のポジションへの転向もあります。入り口は薬局の事務スタッフでも、キャリアの可能性は無限大ですので、興味ある方は一度、問い合わせてみてはいかがでしょうか。
調剤薬局事務をあなたのキャリアに加えてみませんか?
最後までお読み頂きありがとうございます。
今回の記事では、調剤薬局の事務スタッフの仕事内容に焦点を当てて、初心者向けに解説しました。
コロナウィルスの影響もあり、正社員採用のニーズは確実に高まっています。調剤薬局の事務は高卒未経験でも正社員として就業できる貴重な職種なので、是非、皆さんも積極的に目指してみてはいかがでしょうか。
皆さんが「薬局の顔」になり、おじいちゃんおばあちゃんのアイドルとして活躍してくれることを心から願っています。